かつて我が身を賭して国を守った日本男児の心の雄叫びが聴こえる

 

Ch.11  軍 歌

 

 

Ch.11 軍歌 目録 (五十音順) 

 

愛国歌 海軍讃歌 学徒動員の歌 空戦讃歌 軍楽・行進曲 献納歌 国策歌謡

散華覚悟の唄 銃後の歌 出陣歌 出征送別歌 陣中抒情歌 水兵唄 戦時映画主

題歌 戦時歌謡 勝歌謡 戦闘歌 戦友の唄 鎮魂歌 討伐の唄 特攻隊の歌 

露戦争の唄 日清戦争の唄 乃木大将の歌 反戦歌謡 部隊唄 兵隊唄 雪の進軍 

予科練と海軍兵学校 〆の軍歌〔雜載〕 

 

 

愛国歌 あいこく

 自国への敬愛や忠誠を歌い上げた歌謡。

「愛国」の意味範囲も人によって大きくぶれ、軍歌から演歌まで多様である。

 【例歌】

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我神州         (滝 廉太郎曲)

♪我神州の正大気 凝りて咲きけむ桜花
 大和男児の眞心は 朝日に匂ふや桜花
 花はちりてぞ香を留む 人は死してぞ名を
残す
 行けや壮夫(ますらを)(さきが)けて 

  朝日の御旗翳(かざし)しつゝ

♪轟然(ごうぜん)一発轟(とどろ)けり 

 見よや大砲火を吐きぬ
 霹靂(へきれき)一声響(ひびき)たり 

 散るや味方の榴散弾
 天晴(あっぱれ)砕けぬ敵の陣 

 見事くだけぬ敵の陣
 朝日の御旗翳しつゝ 進めや進め壮夫よ 

♪百練経たる日本刀 抜くや秋水影寒し
 大和男児が此(この)刀 提げ持ちて敵軍を
 右に左に斬り捲(まく)る 卍(まんじ)

  (ともへ)に斬り回る
 行けや壮夫魁けて 朝日の御旗翳しつゝ 

♪いばえの声も勇ましや 蹄の音も勇しや
 阿修羅の暴し騎馬の武者 

 土砂巻揚(まきあが)るつむぢ風
 敗れし敵の木の葉武者 

 乱れ散りつゝ崩れたり
 朝日の御旗翳しつゝ 進めや進め壮夫よ

──軍歌、明治三十二年発表

YOU TUBE

昭和維新の歌        三上 卓 詞

♪一、
汨羅(べきら)
の渕に波騒ぎ
巫山(ふざん)
の雲は乱れ飛ぶ
混濁の世に我れ立てば
義憤に燃えて血潮湧く

 二、
権門(かみ)(おご)れども
国を憂うる誠なし
財閥富を誇れども
社稷(しゃしょく)
を思う心なし 

 三、
ああ人栄え国亡ぶ
(めしい)
たる民世に踊る
治乱興亡夢に似て
世は一局の碁なりけり

 四、
昭和維新の春の空
正義に結ぶますらおが
胸裡百万兵足りて
散るや万朶(ばんだ)の桜花 

 五、
古びし死骸(むくろ)乗り越えて
漂揺(ひょうよう)の身は一つ
国を憂いて立つからは
丈夫の歌なからめや

 六、
天の怒りか地の声か
そもただならぬ響あり
民永劫の眠りより
醒めよ日本の朝ぼらけ

 七、
見よ九天の雲は垂れ
四海の水は雄叫(おたけ)びて
革新の(とき)到りぬと
吹くや日本の夕嵐

 八、
ああうらぶれし天地(あめつち)
迷いの道を人はゆく
栄華を誇る塵の世に
()
が高楼の眺めぞや 

 九、
功名何ぞ夢の跡
消えざるものはただ誠
人生意気に感じては
成否を誰かあげつらう

 十、
やめよ離騒の一悲曲
悲歌慷慨の日は去りぬ
われらが(つるぎ)今こそは
廓清(かくせい)
の血に躍るかな

──軍歌、昭和五年発表

[メモ]別題「青年日本の歌」という。

愛国六人娘        佐藤惣之助詞

♪燃え立つ血潮よ から紅に

 今日ぞ輝く 祖国の御旗

 銀のつばさに 彩りて

 いざ行け若人 われらの戦士

♪高鳴るつばさよ あの大空に

 ひゞく歓呼は 祖国の希望

 深き感謝に 送られて

 いざ行け若人 われらの戦士

♪轟く砲火よ この戦いに

 競うニュースは 祖国の勝利

 胸も湧きたつ 感激に

 いざ行け若人 われらの戦士

♪銃後の護りよ いざ諸共に

 つくすわれらは 祖国の乙女

 大和桜と (きお)いよく

 いざ行け若人 われらの戦士

──時局歌謡、昭和十二年発表

 

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愛国行進曲

山嶺の君が代 *東海林太郎

七生報国 *伊藤久男

大日本の歌

軍歌『大日本の歌』レコード   

日章旗の下に *日本ビクター合唱団

日の丸列車 *市丸

婦人愛国の歌 *「皇御国(すめらみくに)の副題

婦人愛国の歌 *「抱いた坊やの」の副題

勇士の誓い *上原敏

我は再び銃執らん *霧島昇・佐々木章

 

海軍讃歌 かいぐんさんか

 大日本帝国海軍で培われた讃歌。軍艦船を主題とした勇壮な戦闘内容が目立つ。

【例歌】

軍艦だより         松島慶三詞

♪ようやくたるんだ 春風に

 厚い氷も 解けて来た

 遥かに霞む 山々も

 薄紫に もえて来た

♪思えば長い 冬の夜の

 身をきるな 甲板で

 つららになった 顎の髭

 故郷の人に 見せ度いな

♪一日前の 新聞も

 艦じゃ大事な ニュースだよ

 慰問袋の 日付見て 

 破れたシャツの 穴かゞり

♪昨日も今日も 又明日も

 波又波に 灯が暮れて

 壮心物を 思わねど

 夢路おぼろに 千鳥鳴く

♪あゝ東洋の 黎明に

 晴さにゃならぬ 空の雲

 儼たる海の 沈黙に

 待つある備え 誰か知る

──時局歌謡、昭和十三年発表

 

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海を征く歌 *伊藤久男

海の勇者 *灰田勝彦・大谷冽子

海鷲魂 *東海林太郎

艦隊出動 *鷲崎良三

軍港娘 *横山郁子

月月火水木金金

精鋭なる我が海軍 *海軍軍楽隊

潜水艦の歌 *東海林太郎、鬼俊英、テイチク合唱團

怒涛万里 *「放送文芸入選作」の作品

日本海軍 *岡本敦郎 鏡五郎

 

学徒動員の歌

「学徒動員」とは、太平洋戦争末期に兵力補充のため、政府の命令で大学生らを強

制的に徴兵した制度を指す。その士気鼓舞のために作られた歌謡である。

【例歌】

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ああ紅の血は燃ゆる        野村俊夫詞

♪花も蕾の若桜 
 五尺の生命ひっさげて 
 国の大事に殉ずるは 
 我等学徒の面目ぞ 
 ああ紅の血は燃ゆる
♪後に続けと兄の声 
 今こそ筆を投げ打ちて 
 勝利揺がぬ生産に 
 勇み立ちたるつわものぞ 
 ああ紅の血は燃ゆる
♪君は鍬執れ我は鎚 
 戦う道に二つ無し 
 国の使命を遂ぐるこそ 
 我等学徒の本分ぞ 
 ああ紅の血は燃ゆる
♪何を荒ぶか小夜嵐 
 神州男児ここにあり 
 決意一度火となりて 
 護る国土は鉄壁ぞ 
 ああ紅の血は燃ゆる

 

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輝く黒髪

学徒蹶起の歌

学徒出陣 

学徒空の進軍 

 

空戦讃歌 くうせんさんか

【例歌】

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ダンチョネ節  *俗謡の替え歌

♪沖の鷗と 飛行機乗りは

 どこで散るやらネ

 はてるやら ダンチョネ

♪俺が死ぬ時 ハンカチふって

 友よ彼女(あのこ)はネ 

 さようなら ダンチョネ

♪タマは飛び来る マストは折れる

 ここが命のネ

 捨てどころ ダンチョネ

──替え歌、昭和中期に流行

[メモ]航空讃歌とは言えないが、兵隊間であまねく愛唱された替え歌である。

 

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憧れの銀翼 *井口小夜子・横山郁子

荒鷲の歌 *青江三奈

大空に祈る *松原操、三原純子、菊池章子

艦上機恙(つつが)なし *岡晴夫         

機上の歌 *春日八郎

航空日本の唄

索敵行 *伊藤久男ほか合唱

さくら進軍 *松平晃・霧島昇他

新鋭隼号 *大東亜合唱団

空の軍神 *藤山一郎

空の神兵

空の勇士 *混声合唱

大航空の歌 *霧島昇・松原操

南京爆撃隊 *葦原邦子

ブーゲンビル沖航空戦 *立花ひろし

護れ大空 

燃ゆる大空

 

軍楽・行進曲 ぐんがく/こうしんきょく

〈マーチ〉とも。所定のリズムのもとに、隊列(人とは限らない)の行進ペースに合わせ調子を取る楽曲。わが国では、維新期に西洋音楽を真似て作曲された〈トコトンヤレ節〉がこれの嚆矢とされている。

【例歌】

遠征ドンドン節 えんせいどんどんぶし 

♪流石英雄の鉄石心もドンドン、愛馬の別れにや血の涙、悲哀じやねエさうぢやないかドンドン

♪アルタイ山頭に駒を仕立ててドンドン、一目に見下ろす支那露西亜、愉快じやねえさうぢやないかドンドン

──流行節、明治二十六年頃流行、『日本近代歌謡史』上

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軍艦行進曲 ぐんかんこうしんきよく    瀬戸口軍楽長詞

     一

守るも攻めるもくろがねの

浮べる城ぞたのみなる

浮べるその城日の本の

皇国(みくに)四方(よも)を守るべし

まがねの(その)(ふね)日の本に

仇なす国を攻めよかし

    二

いわきの煙りわだつみの

たつかとばかり(なび)くなり

弾丸(たま)うつひゞきは(いかづち)

声かとばかりよどむなり

万里の波濤をのりこへて

御国の光り輝かせ

──流行節、明治時代の録音、『美音の栞』第二九九六号

 軍艦マーチ〔軍艦ドドド堂のブログより〕

進軍の歌          本多信寿詞

♪雲わきあがる この(あした))  

 旭日のもと 敢然と

 正義に立てり 大日本  

 とれ 膺懲(ようちょう)の 銃と剣

♪祖国の護り 道のため  

 大君(きみ)御勅(みこと) 畏みて

 山河に興る 胆と熱  

 鳴れ 進軍の 旗の風

♪広漠の土 咆ゆる海  

 越えゆくところ  厳然と

 天に光れり 日章旗  

 撃て 暴虐の 世々の敵

(いわお)と固き 軍律に  

 とどろく正義 その力

 千万人も 敢えて行く  

 これ 神州の 大和魂(やまとだま)

♪すでに聖戦 幾そ度 

 凱歌は常に われとあり

 貫く赤誠(まこと) ただ一つ  

 知れ 萬世の大日本

水漬(みず)き草むす 殉忠の 

 屍のかおる さくらばな

 光と仰ぐ 皇軍の  

 聞け 堂堂の  進軍歌

──昭和十二年、公募第一席入選歌 

 

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あゝ日の丸だ前進だ 昭和56年リバイバル

愛馬進軍歌

暁の進軍 *ミヤタ・ハーモニカバンド

雨の進軍 *岡 晴夫

雨の進軍譜 *岡 晴夫

如何に狂風 *海軍軍楽隊

オルドス進軍歌 *東海林太郎

歓喜の前進 *一色晧一郎

来たれや 来たれ *旧題名は「皇国の守」

軍艦旗の歌 *東海林太郎

月下の進軍 *上原敏 日本ポリドール合唱

ジャングル越えて *伊藤久男

ジャングルと兵隊 *大蔵敏彦・如月俊夫 日本愛国合唱団

十億の進軍 *木下 保

女性進軍 *松原 操

進 軍

進軍第一歩 *松島詩子 樋口静雄

進軍の歌 *陸軍戸山学校軍楽隊

進軍ぶし *美ち奴 広沢虎造

空の行進曲 *松平 不二男

大日本行進曲 *霧島昇、松原操、新星会合唱団

大陸行進曲 *東京混声合唱団

敵は幾万 *詞は新体詩形

日本が誇る行進曲の名曲

日本陸軍(陸軍礼式歌) 

熱砂の行軍 *上原 敏

抜刀隊 *詞は新体詩形

日の丸行進曲 *織井茂子 コロムビア男声合唱団         

吹雪の進軍歌 *小野 巡

満州行進曲 

緑の進軍 *横山郁子(陸・海軍礼式歌)

喇叭の響  *冨田義助

陸軍分列行進曲

連合艦隊行進曲 *東海林太郎

 

献納歌 けんのうか

 太平洋戦争開戦を機に朝日新聞社等が音楽家に委嘱し制定した楽曲を献納、公表

したものを指す。すなわち、楽曲制作の費用や手間を自ら負担し、国策に協力した

のである。

 仁丹の「大政翼賛の歌」楽譜 献納歌は献納企業の格好の宣伝材料になった

【例歌】

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つわものの歌         東辰三詞

♪俺は日本のつわものだ

 選び出されて来たからにゃ

 正義に向かう敵兵を

 撃って懲らさにゃ二度とまた

 御国の土は踏まないぞ

♪見てくれ俺の鉄兜

 型は変われどこの中にゃ

 先祖の兜に引け取らぬ

 大和魂が籠もってる

 忠義の銘も錆びちゃいぬ

♪初めの一針妻の針

 千人針の腹巻を

 ぐっと締め付け南無八幡

 弾が当るが反れようが

 千人力で突貫だ

♪万里の長城踏み締めて

 勝利の万歳唱えたら 

 東の空の雲切れて 

 後光に日の丸輝いた

 俺は泣いたぞ拝んだぞ

♪今日初陣の攻撃に

 敵影見えぬこの部落

 腹拵えて追撃だ

 豚のご馳走か良し一番

 青龍刀の試し切り

♪髭面写すこの河を

 銃差し上げて渡ったら

 思い出したぞ故郷の川

 そこじゃ魚を追ったけど

 今度の獲物は大きいぞ

♪昨日泥濘夜が明けりゃ

 岩また岩の山路を

 引かれて進む野戦砲

 も少し我慢だよいこらしょ

 今にしこたま撃ってやる

──軍歌、献納年等未詳

 

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仰げ軍功 *霧島昇・二葉あき子

兄は往く *灰田勝彦・大野一子、読売新聞社撰定並献納 

十億の進軍 *木下 保、読売新聞社が公募選定し献納

大東亜戦争海軍の歌 *朝日新聞社が海軍省に献納

大東亜戦争陸軍の歌 *朝日新聞社が陸軍省に献納

特幹の歌 *藤原義江、読売新聞社撰定並献

 

国策歌謡 こくさくかよう

帝国主義下の日本で、国家政策により制定または普及させた軍歌。〈献納歌〉とダブる場合が多い。

当然ながら洗脳の目的が歌詞に見え隠れしている。

【例歌】

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勝利の日まで     サトウハチロー詞

♪丘にはためく あの日の丸を

 仰ぎ眺める 我等の瞳

 何時かあふるる 感謝の涙

 燃えて来る来る 心の炎

 我等はみんな 力の限り

 勝利の日まで 勝利の日まで

♪山で斧ふる おきなの腕も
  海の若者 櫓を漕ぐ腕も
  町の工場の 乙女の指も
  今日も来る来る お国のために
  我等はみんな 力の限り
  勝利の日まで 勝利の日まで

  雨の朝も 吹雪の夜半も
  思うは一つ ただただ一つ
  遠い戦地と 雄々しき姿
  浮かび来る来る ほほえむ顔が
  我等はみんな 力の限り
  勝利の日まで 勝利の日まで

  空に飛び行く 翼に祈り
  沖をすぎ行く 煙に誓う
  国を挙げての この戦に
  湧いて来る来る 撃ちてし止まん
  我等はみんな 力の限り
  勝利の日まで 勝利の日まで

東宝「勝利の日まで」ポスター、昭和二十年

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亜細亜行進曲 あじあこうしんきよく   関東軍参謀部詞

     一

有色の、屈辱のもと

喘へぐもの

亜細亜、亜細亜

奪はれし、吾等が亜細亜。

二 

白人のみ、半絵印固め

滅び行く

亜細亜、亜細亜

奪はれし、吾等が亜細亜。

    三

失うは、唯、鉄鎖のみ

こぞり立ちて

亜細亜、亜細亜、

十億の、吾等が亜細亜。

     四

 共栄の、この旗の前

奮起せよ 

亜細亜、亜細亜

輝ける、吾等が亜細亜。

    五

望み御世、われらが日本

日本のみ

亜細亜、亜細亜

ほろびゆく、亜細亜を守る。

    六

東に、満ち来るもの

復 興

亜細亜、亜細亜

手をとりて、亜細亜に還れ。

    七

満蒙は、今こそ叫ぶ

奮ひ立て

亜細亜、亜細亜

亜細亜のみ、亜細亜を救ふ。

──国策軍歌、昭和八年発表、日本ビクターレコード譜

[メモ] 挙国で猪突猛進、といった歌詞である。「亜細亜」も大安売り。音楽とは曲詞を楽しむためにあるはずのものだが、こうなるともう常軌を逸しておぞましさを感じる。

 

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アッツ島血戦勇士顕彰国民歌 *波平曉男、伊藤久男、伊藤武雄、合唱團

桜花に誓う *松原操、奈良光枝、三原純子「女子挺身隊の歌」の副題

皇民行進曲 *霧島 昇

国民進軍歌 *合唱

里のおみな *楠木繁夫・松原 操・真木あや子

そうだその意気 *「国民総意の歌」の副題

大東亜決戦の歌 *坂本博士 キング合唱団

出せ一億の底力 *林伊佐緒

勅語奉答 *教育勅語の讃歌

造れ、送れ、撃て *海軍省推薦歌

敵の炎 *伊藤久男・楠木繁夫

遂げよ聖戦 *東海林太郎

突撃喇叭鳴り渡る *「一億総決起の歌」の副題

南進男児の歌 *霧島 昇+楠木繁夫、国策に沿った国民歌謡

熱砂の雄叫び *東海林太郎

非常時日本の歌 *東京音楽学校生徒の合唱

護れ太平洋 *小野 巡

みんな兵士だ弾丸だ *楠木繁夫ほか

 

散華覚悟の唄 さんげかくごのうた

【例歌】

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サイパン殉国の歌      大木惇夫詞♪泣け怒れ奮えよ撃てよ
 夕映えの茜の雲や
 血に咽ぶサイパンの島
 皇国を死して護ると
 つわもの等玉と砕けぬ
♪泣け怒れ讃えよ褒めよ
 皇軍に力協せて
 同胞はよくぞ起ちたり
 勇ましや老いも若きも
 義に燃えて国に殉じぬ
♪泣け怒れ讃えよ褒めよ
 武器執りて起ち得る者は
 武器執りて皆戦えり
 後には大和撫子
 紅に咲きて匂いぬ
♪泣け怒れ讃えよ褒めよ
 代々享けし忠武の血もて
 旗印高く揚げたり
 仰ぎ見て同じ心に
 戦いに我等続かん
♪泣け怒れ奮えよ撃てよ
 千万の敵と言うとも
 皇御民何か恐れん
 天津日の照る日の本ぞ
 日をおいて国を護らん

──軍歌、昭和二十年一月発表

 

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宛なき手紙 *小野 巡

火線をゆく *歌詞入りカラオケ

最後の訓示 *歌詞入りカラオケ

戦陣訓の歌

同期の桜

 

銃後の歌 じゅうごのうた

 戦時下の銃後で勝利と護国のため国民が唄った歌謡。

【例歌】

決戦むすめ         野村俊夫詞

♪野辺の菫も都の花も
 同じ皇国の決戦娘
 今日も溌剌戦う瞳
 夢と希望に燃えている
♪心一筋勇士に続く
 固い覚悟の決戦娘
 何の雨風茨の道も
 笑顔明るく越えて行く
♪敵の銃後に後れは取らぬ
 大和島根の決戦娘
 朝に夕べに星影踏みて
 意気を見せましょこの意気を
♪花の亜細亜の緑の朝を
 築く私等決戦娘
 やがて楽しい春告鳥が
 富んでくる火を友と末

──戦時唱歌、昭和十九年発表

 [メモ]慰問帖の作り方」昭和十八年十月

太平洋戦争もたけなわの昭和十八年秋、戦争が激しくなり慰問袋に入れて戦地へ送る物資が不足し始めると、主婦や学童に「慰問帖」作りが奨励されるようになった。たとえば、古新聞の切抜きや自作の絵などを物資・食品に見立てて作る、戦線への贈り物である。意外なことに、将兵は心のこもった手作りの品々に内地の温もりを感じて、代用品の現物を支給されるよりもかえって喜んだという。万年御馳走」の題目にひもじさは余計つのることだろうに。

 絵に描いた餅「万年御馳走」

 

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愛馬花嫁 *松原操・菊池章子・渡辺はま子

石と兵隊 *由来唄

慰問袋を *コロムビア合唱團

軍国の母 *〆奴

軍国盆踊 美ち奴・菅原都々子

決戦むすめ *奥山彩子・菅沼幸子

皇国の母 *鶴田浩二

銃後だより *青葉笙子

銃後の妻 *浅草 染千代

倅でかした *上原 敏  浅草染千代

千人針 *關 種子

主はつわもの *美ち奴

 

出陣歌 しゅつじんか

 敵地へおもむく兵士の決意等を高らかにうたった歌謡。

【例歌】

艦上機(つつが)なし        深沢健蔵詞

♪あゝ南海に 日は暮れて

 月明淡き 波の面

 還らぬ戦友(とも)を 待ちわびて

 甲板(デツキ)に白き 人の影

♪敵爆撃の 命を受け

 母艦をあとに さっそうと

 大空高く 飛び行きし

 我が艦上機 還り来ず

♪無電もすでに 応答(こたえ)なく

 頼みの綱は 絶えたれど

 一縷(いちる)希望(のぞみ) 胸に抱き

 黙々にらむ 夜の空

♪あゝ満天の 冴えわたる

 輝く星座 仰ぐとき

 思いははるか 戦友の

 身よやすかれと 祈るのみ

♪焦慮の内に 夜も更けて

 眠りもやらず 待つ耳に

 かすかにひびく 爆音が

 あゝなつかしき 我が愛機

♪思わず叫ぶ 万歳の

 歓呼の中を ゆうゆうと

 手柄をのせて 今還る

 あゝ艦上機 恙なし

──軍歌、昭和十八年発表

 

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今ぞ召されて *霧島 昇

男召されて *田端義夫

月下の陣 *キング男声合唱団

五人の斥候兵 *一条 弘

新討匪行 *東海林太郎

征空行 *楠木繁夫

断じて勝つぞ *藤山一郎

雷撃隊出動の歌 *霧島昇、波平暁男

露営の歌 *伊藤久男、霧島昇

流沙の護り *上原 敏

 

出征送別歌 しゅっせいそうべつか

〈出征兵士を見送る歌〉とも。

 見送る人々が唱和し、兵士本人の決意を促す効果があった。

 出征兵士の見送り駅頭風景

【例歌】

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出征兵士を送る歌 *林 伊佐緒 ポニージャックス(後年再吹込み)

♪我が大君に召されたる

 命榮えある朝ぼらけ 

 讚へて送る一億の

 歓呼は高く天を衝く 

 いざ征けつはもの日本男児

♪華と咲く身の感激を 

 戎衣の胸に引き緊めて

 正義の軍行くところ

 誰か阻まんこの歩武を

 いざ征けつはもの日本男児

♪輝く御旗先立てて

 越ゆる勝利の幾山河

 無敵日本の武勲を

 世界に示す時ぞ今

 いざ征けつはもの日本男兒

♪守る銃後に憂いなし

 大和魂搖るぎなき

 國のかために人の和に

 大盤石の此の備へ

 いざ征けつはもの日本男児

♪あゝ万世の大君に

 水漬き草生す忠烈の

 誓致さん秋到る

 勇ましいかなこの首途

 いざ征けつはもの日本男児

♪父祖の血汐に色映ゆる

 國の譽の日の丸を

 世紀の空に燦然と

 揚げて築けや新亞細亞

 いざ征けつはもの日本男兒

──軍歌、昭和十四年発表

 

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暁に祈る

駅頭の感激 *セリフ入り

志願兵を送る歌 *内田栄一、増田なほみ

少年兵を送る歌 *

富士に別れて *霧島 昇・松原 操

村の勇士 *美ち奴

 

陣中抒情歌 じんちゅうじょじょうか

戦線で兵士が口ずさむ抒情的な歌。

軍歌とは一味異なって人間性が現れているが、さまざまなタイプがある。

【例歌】

日清戦争当時の二十六字歌 につしんせんそうとうじのにじゆうろくじうた

           歩兵十六連隊第三大隊附脇部春次、金州曹家屯にての作

♪身には荒菰(あらごも)着ようと儘よ、銘酒大勝利菰かぶり(陣中流行)

♪英雄豪傑かがみと立つて、櫛風沐雨(しつぷうりんう)のあら化粧

♪忠臣義士をば手本とながめ、四百余州を草子紙

弾丸(たま)でお主の命を取つて、(かばね)はわたしのかりまくら

♪星の数ほど豚ある中に、月と見るのは(てい)(じよ)(しやう)(陣中流行)

♪梅の蕾と日清媾和(こうわ)、ひらかぬ(あひだ)がたのもしい

♪忠君愛国知らない民が、勝つて建てたる国はない(陣中流行)

♪北京かついで天津さげて、英吉利(いぎりす)あたりへ逃げやんせ

──軍歌明治二十七年頃流行『明治流行歌史』

 [メモ] 都々逸と同じ二十六字音歌の雑載。

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梅と兵隊          南条歌美詞

 ♪春まだ浅き 戦線の
古城にかおる 梅の花
せめて一輪 母上に
便りに秘めて 送ろじゃないか

 ♪覚悟をきめた 吾が身でも
梅が香むせぶ 春の夜は
戦忘れて ひとときを
語れば戦友よ 愉快じゃないか

 ♪明日出てゆく 戦線で
何れが華と 散ろうとも
武士の誓じゃ 白梅を
戦闘帽にさして 行こうじゃないか

──軍歌、昭和十六年発表

 

YOU TUBE

 

愛馬の唄 *上原 敏 台詞:佐野周二

勝鬨の丘 *橋本一郎

軍靴千里 *詞入りカラオケ

月下の吟詠 *塩まさる

月下の歩哨 *松下詩子

国民恤兵歌 *伊藤久男・霧島昇 コロムビア合唱団

国境線万里 *上原 敏

従軍手帖から *塩 まさる

 上陸の夜 *字幕入りカラオケ

戦場の子守唄 *「軍装の天使」の副題

戦場の父さん *詞入りカラオケ

戦場初舞台 *東海林太郎

戦線春だより *井田照夫

戦線夜情 *小野巡

黄昏の戦線 *塩まさる 新橋みどり

音信(たより)はないか *小野 巡

月の塹壕 *小野 巡

南海の小島 

廃墟の月 *東海林太郎

母と兵隊 *田端義夫

母も戦の庭に立つ *松原 操・波平暁男、カラオケ

麦と兵隊 *東海林太郎

露営の夢 *伊藤久男

 

水兵唄 すいへいうた

旧日本海軍下、軍港やその周辺で水兵らがうたいはやらせた歌謡。

【例歌】

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軍港節 ぐんこうぶし          斎藤紫陽詞

銃を立て天幕を張つて背嚢が枕、外套かむりて一寸すやすやと、妻子に逢ふたるヨツコリヤ、夢を見たよ、(にく)や又、めざましや、敵の丸チヨイチヨイ。

春風の、咲けと誘へば、咲く紫や、海老茶式部の、乱れ乱し、気儘咲きなるヨツコリヤ、たおやめエよ、いづれ又、萎まん秋の野にチヨイチヨイ。

恋しくは、尋ね来て見よ、軍艦立津田出口入口一寸菊の紋、東西南北ヨツコリヤ、がらすまどエ、主さんは、はんもつくに、一人ねるチヨイチヨイ。

夕ぐれに、空を眺めてホロリと涙あれ見やしやせん、チヨイト鳥でさい、夫の跡をヨツコリヤ、慕ふて飛ぶに、ナゼにまた妾は籠の鳥チヨイチヨイ。

花にあき、膝にもたれて、アレすやすやと。君を起そうが、起すならいづれ、君が(たし)なむ、ヨツコリヤ、ヴアイオリンよ、引いてまた起そうか、春の月チヨイチヨイ

──流行歌、大正五年頃流行、『軍港節』

呉節 くれぶし  

朝起きて、今朝の別れに外套にすがり、涙でチヨイとかき上げて、今度の航海よコリヤ御無事でよと附けてまた差し出す巻煙草チヨイチヨイ。

花ならば、国の土産に一枝ほしや、()げたいこゝろはヤマヤマなれど、今はつぼみよコリヤ進げられぬエ咲いたらまた、あげます初夜を、チヨイチヨイ。

 

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海の進軍

海軍節 *「ズンドコ節」の別名あり

軍艦だより *東海林太郎

勇敢なる水兵

 

戦時映画主題歌 せんじえいがしゅだいか

 戦時中に製作された映画の主題歌。

 主題歌を伴う映画はほとんどが劇映画である。かならずしも戦闘シーンを描いたいわゆる戦争映画とは限らない。

【例歌】

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加藤部隊歌     田中林平・朝日六郎詞

♪エンジンの音 轟々と

 隼は()く 雲の果て

 翼に輝く 日の丸と

 胸に描きし 赤鷲の

 印はわれらが 戦闘機

♪寒風酷暑 ものかわと

 艱難辛苦 打ちたえて

 整備に当る 強兵(つわもの)

 しっかりやって 来てくれと

 愛機に祈る 親ごころ

♪過ぎし幾多の 空中戦

 銃弾うなる その中に

 必ず勝つの 信念と

 死なばともにと 団結の

 心で握る 操縦桿

干戈(かんか)交ゆる 幾星霜

 七度重なる 感状の

 いさおの蔭に 涙あり

 ああ今は亡き 武士(もののふ)

 笑って散った その心

♪世界に誇る 荒鷲の

 翼のばせし 幾千里

 輝く伝統 受けつぎて

 新たに興す 大アジア

 われらは皇軍 戦闘隊

──軍歌、昭和十八年東宝映画「加藤隼戦闘隊」挿入歌

 戦時映画のポスター(部分)

 

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あゝ江田島 *同題名大映映画の主題歌

男散るなら *東宝映画「雷撃隊出動」の主題歌

今日も勝ったぞ *映画「土と兵隊」主題歌

銃後の赤誠 *日活映画「国家総動員」連作の挿入歌

水兵さん *同題名の松竹映画主題歌

戦いの街に春が来る *同題名松竹映画の 主題歌

弾雨(たま)を衝いて *松竹映画「さらば戦線へ」の主題歌

土と兵隊 *同題名日活映画の主題歌

護れ国境 *日活映画「國防全線八千粁」主題歌

勇敢なる航空兵 *東宝映画「愛国六人娘」主題歌

夢の鉄兜 *同題名日活映画の主題歌

 

戦時歌謡 せんじかよう

 戦時下、戦争の遂行を目的に作られた歌謡。勝利を描いた煽動や讃歌が目立つ。

【例歌】

戦友の母          石松秋二詞

♪どなたでしょうと 不思議がり

 そろそろ開ける 雪の窓

 顔見合わせて 驚いて

 たゞ言葉なく 涙ぐむ

 戦友間瀬の お母様

♪焚火くすべた 囲炉裏ばた

 殊勲の最後を 話したら

 合掌しつつ うなだれる

 暗い灯影の 横顔が

 戦友間瀬に 生き写し

♪想えば遥るか 大陸で

 一足先に 俺は行く

 故郷の母に よろしくと

 頼まれました この品は

 戦友間瀬が 戦闘帽

♪話せどつきぬ 冬の夜

 また来ますよと 立ちいでて 

 後ふりかえる 戦友(とも)の家

 あゝいつまでも お達者に

 戦友間瀬の お母様

──戦時歌謡、昭和十五年発表

点数の歌               加藤芳雄詞

♪三十二点の国民服に

 胸のハンケチただ一点

 何処へ行くにも立派なもんだ

 年より点数五点上

 無駄にゃすまいぞ 点数 点数

 大事に使うも国のため

──昭和十七年、衣料切符点数制啓蒙の作

 衣料切符点数制を報じる新聞〔『朝日新聞』昭和十七年一月二十日〕

[メモ] 物資不足にあえぐ戦時政策の一環として、衣料切符制は昭和十七年二月から始まった衣料品の消費規制である。これの実施に伴い政府はまず標語を公募。詞はその特選入賞作品である。以下を読めば、衣料切符制の内容をだいたい理解して

もらえるはずだ。

一、注意してよく読め違反をするな。二、切符持たねば買へない衣料。三、切るな自分で切符は店へ。四、親しい仲でも譲れぬ切符。五、一家の総点一家で自由。六、計画立てて切符を使へ。七、品は充分買溜するな。八、余した点数それだけ奉公。九、二度は呉れぬぞなくすな切符。十、使用済んでも捨てるな用紙。

さて問題は、こんな衣料切符の点数制は歌謡の素材になどなりはしない、ということである。消費規制そのものが生活上の暗い材料であり、どう譲っても歌にして口ずさむ気にならない性質のもの。荻生はまだ学童だったが、この歌を聞いた覚えはない。

 

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男ひとたび *上原 敏 

乙女の戦士 *高嶺三枝子

黒き宝 *李香蘭

今年の燕 *松原操 霧島昇

祖国の護り *小野 巡

帝国在郷軍人会々歌

南満工廠歌 *東海林太郎

靖国の子と共に *松原 操

 

戦勝歌謡 せんしょうかよう

日本が軍事国家であった時代、対戦国に戦勝したとき、国民の多くがうたった歌。

【例歌】

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日本勝つた につぽんかつた  

日本勝つた〳〵、露西亜負けた、アレキの泣き面、蜂がさす

日本勝つた〳〵、露西亜負けた、軍艦取られてお気の毒

日本勝つた〳〵、露西亜負けた、陸と海との挟さみうち

日本勝つた〳〵、露西亜負けた、又たも戦捷の号外じや

日本勝つた〳〵、露西亜負けた、法螺吹く勇気は何処へいた

──時局歌謡、明治三十八年流行、『日露新哥大よせ』

日本海海戦 にほんかいかいせん 

一 敵艦見えたり近づきたり

皇国(みくに)の興廃ただこの一挙

各員奮励努力せよ と

旗艦のほばしら信号揚る

みそらは晴るれど風立ちて

対馬の沖に波高し

 二 主力艦隊 前を抑え

巡洋艦隊 後に迫り

袋の鼠と囲み撃てば

見る見る敵艦乱れ散るを

水雷艇隊 駆逐隊

逃しはせじと追いて撃つ

 三 東天赤らみ夜霧はれて

旭日かがやく日本(につぽん)海上

今はや(のが)るるすべもなくて

撃たれて沈むも降るもあり 

敵国艦隊 全滅す

帝国万歳 万万歳

──学校唱歌、大正三年流行、『尋常小学唱歌』六

 絵ハガキ〔明治三十八年頃?〕

 

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英国東洋艦隊潰滅

かちどきの跡 

皇軍大捷の歌 *徳山タマキほか

皇軍入城 *伊藤久男、霧島昇

轟 沈 *松方弘樹

勝利の乾杯 *伊藤久男ほか

ショホールバル陥落の唄 *東海林太郎

シンガポール晴れの入城 *伊藤久男

世紀の凱歌 *霧島 昇

米英撃滅の歌 *伊藤久男

 

戦闘歌 せんとうか

戦線での武人・兵士の苦労や心の葛藤を主題とした歌。

【例歌】

「四季」替え しき/かえ

たつは(はた)、伏見に軍兵ひがし方、火の手あらそふ夜軍(よいくさ)や、うたれうたれて末の武運に物狂ひ、(てき)めざしてぞさしむかふ、気丈(きじやう)勇士のせんじやうや、乱れし松は落ちぶれて、(かばね)を積める淀堤(よどづつみ)、たいがい追ひちらしたよな、まごつく武士もくよくよと、萩の色ます薩長さん、したじたいとふ我国を、()でて旅路の京洛中、思へばいつか丸焼(まるやけ)の、あだもはらせよ行けつづけ、エヽそして屋敷のわけもらひ、ヲイヲイヲイヲイよいやさアヽ。

──歌、慶応四年頃流行、『明治流行歌史』

[メモ] 地歌「四季」は替歌化の人気筋で、有名無名手を変え品を変えした数多の作品が作られている。

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田原坂〔熊本県〕 たばるざか  

雨は降る降る (じん)()は濡れる 越すに越されぬ 田原坂

右手(めて)に血がたな (ゆん)()に手綱 馬上ゆたかな 美少年

山に(しかばね) 川に血流る ()(さつ)の天地 秋さびし 

草をしとねに 夢やいずこ 明けのみ空に 日の御旗(みはた)

泣いてくれるな かわいの駒よ 今宵しのぶは 恋でなし

どうせ死ぬなら 桜の下よ 死なば屍に 花が散る 

田原坂なら むかしが恋し 男同士の 夢の跡

春は桜よ 秋ならもみじ 夢も田原の草枕

──民謡、明治十年頃流行、熊本の伝承民

西南戦争田原坂における抜刀隊の戦闘模様Wikipediaより〕

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抜刀隊 ばつとうたい          外山正一詞

♪我は官軍我が敵は。天知容れざる朝敵ぞ

敵の大将たるものは。古今無双の英雄で

之に従ふつはものは。ともに剽悍(へうかん)決死の士

鬼神にはぢぬ勇あるも。天の許さぬ叛逆を

起こししものは昔より。栄しためしのあらざるぞ

敵の亡ぶる(それ)までは。進めやすゝめ諸共に

玉ちる(つるぎ)ぬきつれて。死ぬる覚悟で進むべし

♪皇国の風とものゝふの。其身を護る(たましひ)

維新このかたすたれたる。日本刀の今更に

又世にいづる見のほまれ。敵も身方も諸共に

(やいば)の下に死すべきぞ。大和だましいあるものは

死すべき時は今なるぞ。人におくれて恥かくな

敵のほろぶる夫までは。すゝめや進めもろともに

玉ちる剣ぬき(つれ)て。死ぬる覚悟で進むべし

♪前を望めば剣なり。右も左も皆剣

つるぎの山に登るのは。未来のことをと聞きつるに

此世に於てまのあたり。剣の山に登るのも

我身のなせる罪業を。ほろぼすために非ずして

賊を征伐するがため。剣の山も何のその

敵の亡ぶる夫れまでは。進めや進め諸共に

玉ちる剣ぬきつれて。死ぬる覚悟で進むべし

♪剣の光りひらめくは。雲間に見ゆる稲妻ぞ

 四方に打出す砲声は。天にとゞろく雷ぞ

 敵の刃に伏すものや。(たま)に砕けて玉の緒の

 絶へてはかなく死する身の。(かばね)は積みて山をなし

其血は流れて川をなす。死地に入るのも君の為め

敵の亡ぶる夫までは。進めや進め諸共に

玉散る剣ぬきつれて。死ぬる覚悟ですゝむべし

♪弾丸雨飛の間にも。二ツなき身をおしまず

進む我身は野嵐に。吹かれて(きゆ)る白露の

はかなき最後とぐるとも。忠義の為めに死ぬる身の

死して甲斐ある者ならば。死ぬるも更に怨みなし

我と思はん人達は。一歩も後へ引く(なか)

敵の亡ぶる夫までは。進めや進め諸共に

玉ちる剣ぬきつれて死ぬる覚悟で進むべし

♪我今(ここ)に死ぬるのは。君の為なり国の為

捨つべきものは命なり。たとひ屍は朽ると

忠義のためにすてし身の。名は(かぐ)はしく後の世に

永く伝へて残るらん。武士と生れた甲斐もなく

義もなき犬と云はるゝな。卑怯な者とそしられな

敵の亡ぶる夫までは。進めや進め諸共に

玉ちる剣ぬきつれて。死ぬる覚悟で進むべし

──新体詩歌、明治二十年頃流行『新体詩歌』

 

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あゝ草枕幾度ぞ *東海林太郎 

暁の塹壕 *上原敏 台詞 矢島英子

暁の斥候 *松平晃、伊藤久男、霧島昇

暁の決死隊 *三門順子

荒鷲ハワイだより *田端義夫

塹壕の中で *徳山璉 東京リーダーターフェル・フェライン

戦火に立つ *三門順子

戦線日記 *鈴木正夫

前線の唄 *新田八郎・藤原亮子

対峙の夜 *小野 巡

大殲滅の歌 

血染めの伝令 

敵前歩哨

砲兵の歌

北支戦線の歌 *

真昼の陣営 *

 

戦友の唄

 戦友との友情や戦功をたたえた歌。いきおい抒情性が強い作になりがちだ。

【例歌】

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  せんゆう    アイ・ジョージ唄   真下飛泉詞           

こゝは御国(みくに)を何百里 離れて遠き満州の

赤い夕日にてらされて 友は野末(のづえ)の石の下

思へばかなし昨日まで 真先(まつさき)かけて突進し

敵を散々懲らしたる 勇士はここに眠れるか

あゝ(たたかひ)の最中に 隣りにおつた戦友の

俄かにはたと倒れしを 我はおもはず駈け寄つて

軍律きびしき中なれど これが見捨てて置かれうか

「しつかりせよ」と抱き起こし 仮綳帯も弾丸(たま)の中

折から起る突貫に 友はやうやう顔あげて

「御国の為だかまはずに おくれてくれな」と目に涙

あとに心は残れども 残しちやならぬ此からだ

「それじや行くよ」と別れたが ながの別れとなつたるか

戦すんで日が暮れて さがしにもどる心では

どうぞ生きてゐてくれよ 物なといへと願ふたに

空しく冷えて(たましひ)は 故国へ帰るポケツトに

時計ばかりがコチコチと 動いて居るもなさけなや

思へば去年船出して お国が見えずなつた時

玄海灘で手を握り 名をなのつたが始めにて

これより後は一本の 煙草も二人でわけてのみ

ついた手紙を見せ合ふて 身の上ばなしくりかへし

肩をたゝいて口ぐせに どうせ命はないものよ

死んだら骨を頼むぞと 言ひかはしたる二人仲

思ひもよらず我一人 不思議に命ながらへて

赤い夕日の満州に 友の塚穴(つかあな)掘らうとは

くまなくさへる(つき)今宵(こよい) 心しみじみ筆とりて

友の最後をこまごまと 親御へ送る此手紙

筆の運びはつたないが 行灯(あんど)のかげで親たちの

読まるゝ心おもひやり 思はずおとす一雫。

──軍歌、明治三十八発表『明治流行歌史』

 

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あゝわが戦友 *近衛八郎

陣中髭くらべ *東海林太郎

戦友の唄 *伊藤久男

戦友の遺骨を抱いて *鶴田浩二

野末の戦友 *上原敏

 

鎮魂歌 ちんこんか

 死者を追悼し、その霊を慰撫し鎮めるためにうたう歌。

 軍歌での対象は当然ながら軍人ということになる。

【例歌】

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海行かば うみゆかば        大伴家持詞 

♪海行かば 水漬(みづ)くかばね

山行かば 草むすかばね

大君の ()にこそ死なめ

かえりみはせじ

──鎮魂歌、昭和十二年成、伝承現行

[メモ] 大伴家持の有名詠歌を信時潔が調詞。このように古歌から全部または一部をなぞって仕立てた詞を「本歌(ほんか)(どり)」という。

 フリーの音声ソフト「海行かば」音譜図案化

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加藤部隊歌 かとうぶたいか   同部隊員丸田詞

エンジンの音轟々と

隼は征く雲の果て

(よく)に輝く日の丸と

胸に描きし赤鷲の

(しるし)はわれらが戦闘機

寒風酷暑ものかわと

艱難辛苦 打ちたえて

整備に当たる強兵(つわもの)

しっかりやってきてくれと

愛機に祈る親ごころ

過ぎし幾多の空中戦

銃弾うなるその中に

必ず勝つの信念と

死なばともにと団結の

心で握る操縦桿(そうじゆうかん)

 干戈交ゆる幾星霜

 七度(ななたび)重なる感状の

いさおの陰に涙あり

ああ今は亡き武士(もののふ)

笑って散ったその心

世界に誇る荒鷲の

翼のばせし幾千里

輝く伝統受けつぎて

新たに興す大アジア

われらは皇軍戦闘隊

──軍歌、昭和十八年、東宝映画「加藤隼戦闘隊」主題歌『小学館CDブック・昭和の歌』

[メモ] 第三節に挿入の変調部は大空に散った部隊員への鎮魂のための詞である。

 

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噫(ああ)南郷大尉 *上原 敏

赤い夕陽の九段坂 *鶴田六郎、田村とみ代

還らぬ荒鷲 *歌詞入りカラオケ

 に眠る勇士 *三門順子

九段のさくら *本宮三香、吟詠

九段の父 *小野 巡

軍靴千里 

軍国の乙女 *大宮小夜子、副題に「南郷大尉の歌」とある

声なき凱旋 *上原 敏

芒に祈る *上原 敏

戦場宵待草 *藤山一郎

戦友の遺骨を抱いて 

戦友の母 *塩 まさる

橘中佐 

父よあなたは強かった

血染の戦闘帽 *東海林太郎

泪で立てし日の丸よ *筑波 嵩

肉弾三勇士 *陸軍戸山学校軍楽隊

野菊の勇士 *小野 巡

爆弾三勇士 

爆弾三勇士の唄 *陸軍戸山学校軍楽隊

広瀬中佐 

夏草の夢 *田端義夫

山本元帥の歌

 

討伐の唄 とうばつのうた

出兵し敵を征服する(した)ときの勝利の歌。

有名歌であれば古今を問わない。

 撃つべき筆頭はルーズベルト『アサヒグラフ』昭和十九年三月一日号

【例歌】

撃ちてし止まむ〔記紀歌謡〕 うちてしやまん

神風(かむかぜ)の 伊勢(いせ)(うみ)の 大石(おほいし)にや い()(もとほ)る 細螺(しただみ)の 細螺の 吾子(あご)よ 吾子よ 細螺の い這ひ廻り ()ちてし()まむ 撃ちてし止まむ

──日本書紀歌謡、上代、『日本書紀』

[メモ] 神武天皇が戌午の年十月、軍勢を引き連れて奈良県北の国見の丘で八十梟帥(やそたける)を討伐に向かうときの戦意鼓舞歌。軍歌発祥の唄といえよう。

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討匪行 とうひこう     関東軍参謀部詞

     一

どこまでつづくぬかるみぞ

三日二夜を食もなく

雨降りしぶく鉄兜。

    二

いなゝくこゑもたえはてゝ

たふれし馬のたてがみを

かたみといまはわかれ来ぬ。

     三

 ひづめのあとに乱れ咲く

 秋草の花(しづく)して

 虫が()ほそき日暮れ空。

     四

 すでに煙草はなくなりぬ

 たのむマツチも濡れはてぬ

 飢え迫る夜の寒さかな。

     五

さもあらばあれ日の本の

吾はつはものかねてより

草むすかばね悔ゆるなし(後略)

──国策軍歌、昭和八年発売、日本コロムビア音盤譜

 詞を改作した「討匪行」〔ポケットブックス〕

 

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ウラルの彼方

つわものの歌 

仏印進駐の歌 *伊藤久男

 

特攻隊の歌 とっこうたいのうた

【例歌】

決死隊の歌        海軍軍楽隊詞

天皇(きみ)と国とに尽す可く

 死地につかんと(こいねが)

 二千余人の其の中に

 七十七士と選ばれし

♪今宵ぞ正に身を捨てゝ

 旅順港口塞がんと

 忠勇無二の武士は

 今しも艦を去らんとす

♪出て行く人送る人

 (ことば)は無て手を握り

 別れを告る真夜中を

 マストの上の星寒し

♪なみのほのみぞほの白く

 真闇(あやめ)も分かぬ海原を

 舷灯をけしてしづしづと

 死地に乗り入る船五隻

♪サット閃めく探海灯

 忽ち起る(つつ)の音

 敵は驚き騒ぎつゝ

 処定めず打出す

砲弾(たま)は霰と降注ぎ

 (かい)()立つ事三千丈

 彼方此方を照交す

 探海灯の(ものすご)

♪何しに掻乱(さわ)ぐ敵塁ぞ

 可笑(をかしき)敵の振舞や

 鉄より堅き此心

  弾丸もいかでか貫かむ

♪敵の砲火を冒しつゝ

 港口深く進み入り

 我船沈めて帰りにし

 我忠勇の決死隊

♪嗚呼勇ましき決死隊

 七十七士の忠勇は

 我海軍の華にして

 其名薫らん万世(よろづよ)

──軍歌、写声機平円盤 美音の栞(品番未)

[メモ] 明治三十七年、日露戦争での旅順港陥落にちなんで作られた。

 陥落した当時の旅順港

特幹の歌         清水かつら詞

♪翼輝く 日の丸に

 燃える闘魂 眼にも見よ

 今日もさからう 雲切れば

 風も静まる 大刀洗

 あゝ特幹の 大刀洗

♪強く雄々しい 若松に

 匂う暁 宇品港

 ゆくぞ波風 岩も裂く

 船の男児の 心意気

 あゝ特幹の 心意気

♪吹けよ朝風 初陣の

 翼さやかな 肌ざわり

 胸の火玉に 昇る陽に

 命捨て身の 武者ぶるい

 あゝ特幹の 武者ぶるい

♪叩く敵陣 矢が尽きりゃ

 なんの当て身の 弾吹雪

 母もみている きいている

 船と翼の 勝ち名乗り

 あゝ特幹の 勝ち名乗り

──軍歌、昭和十九年発表 

[メモ] 特幹=陸軍特別幹部候補生

 

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嗚呼神風特別攻撃隊 *伊藤久男

あゝ決死隊 *松平 晃ほか

男なら(特攻隊節)

軍神岩佐中佐 *キング合唱団

特別攻撃隊 *書簡集に鎮魂歌用をカバー

ハワイ海戦 

 

日露戦争の唄 にちろせんそうのうた

明治三十七年に勃発した日露戦争にかかわる歌謡。

おびただしい数の類歌が量産され、たいていが戦勝の浮かれ調子にのったものであった。

【例歌】

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ロシヤコイ節 ろしあこいぶし   砂川捨丸・加藤滝子

東洋平和に害ありなどと、無理な理屈をつけ居つた、ロシヤコイロシヤコイ。

一天四海をわが物顔に、無礼極まる青目玉、ロシヤコイロシヤコイ。

今は堪忍袋の緒さへ、切れて鋭き日本刀、ロシヤコイロシヤコイ。

日本男児が血潮を流せし、遼東(れうとう)半島今いかに、ロシヤコイロシヤコイ。

なぜかお前は八方美人、わたしや一筋国のため、ロシヤコイロシヤコイ。

花は今だよいざ諸共に、駒に鞍置け日本(やまと)武士、ロシヤコイロシヤコイ。

黒鳩赤髯もうかなはぬと、白旗立てゝて青い顔、ロシヤコイロシヤコイ。

──演歌、明治三十七年流行、『明治流行歌史』

 [メモ] かなり有名なはやり歌である。

演歌長崎節 えんかながさきぶし

♪ロシヤの軍船なぜ出んじやろか、出られけんでん、出らりや出るバツテン出られけん出ん。

♪コサツク騎兵はなぜ来んじやろか、来られけん来ん、来るバツテン来られけん来ん。

──演歌、明治三十八年流行、『明治流行歌史』

寂滅節 じやくめつぶし  

♪泣き面を蜂が刺すとは()(こく)状態(さま)よ、因果応報寂滅々、(いくさ)は海陸負け続け、馬賊はどしどし暴れ出す、おまけに国では(きよ)()(たう)が、内乱ごたごた大騒動、因果応報寂滅々。

♪黒鳩キンで(さふらふ)と、威張った勇士も此頃は、苦労は絶えんと改名し、これも間もなく寂滅々、今では駄法螺を吹き尽し、青息吐息のスラブ族、まごまごきよろきよろしたとても、輝く正義の旗風に、もはや野心も水の泡、因果応報寂滅々。

──演歌、明治三十八年流行、『明治流行歌史』

手鞠唄 てまりうた 

 

♪一列談判破裂して 日露戦争始まつた さつさと逃げるはロシアの兵 死んでも尽すは日本の兵 五万の兵を引き連れて 六人残して皆殺し 七月八日の戦いは ハルピンまでも攻め入つて クロパトキンの首を取り 東郷元帥万々歳

──手鞠唄、明治三十八年流行、『砂払(すなばらい)(山中共古著)

[メモ] 明治三十八年の日露戦争の戦勝をたたえた有名な詞で、数え歌形式になっている。作詞者は不明だが、かつての日本人で知らない人はいないほど有名。詞も要領を得ている。太平洋戦争頃まで手鞠唄に歌い継がれ、少女らは「…東郷元帥万々歳」に至ると声を一段と張り上げた●日露戦争は、日本とロシアが朝鮮および南満州の支配を巡り争ったもので、日本側も一二万人もの犠牲者を出す。海外の大国との戦争は初めての経験だったにもかかわらず勝利を収めた結果、わが国の軍国化を鼓舞するのにうってつけの材料となった●対露戦争中は反戦運動も盛り上がった。その旗頭は幸徳秋水・堺利彦らで、『平民新聞』で反戦論を展開、政府を攻撃し続けた。また与謝野晶子は、次の反戦詩を発表して巷の話題をまいた 

 ああおとうとよ、君を泣く、/君死にたまふことなかれ、/末に生れし君なれば、親のなさけはまさりしも…

【例歌】

 

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水師営の会見 

日本海海戦 *軍歌「日本海海戦」より

 

日清戦争の唄 にっしんせんそうのうた

明治二十七年八月一日に宣戦布告した日清戦争の関連歌謡。

この戦争はわが国始まって以来経験する近代戦だっただけに、歌謡界に生じた波紋もきわめて大きいものがあった。

【例歌】

欣舞節 きんぶぶし        若宮万次郎詞

♪日清談判 破裂して 品川乗り出す 吾妻艦 西郷死するも 彼がため 大久保殺すも 彼奴(きやつ)がため 遺恨かさなる チヤンチヤン坊主

♪日本男児の 村田銃 (けん)のキツ先 味はえと なんなく支那人 打ち倒し 万里の長城 乗つ取つて 一里半行きや 北京城よ 欣舞欣舞欣舞、愉快愉快

♪金殿玉楼に住居して、綾や錦を身に纏ひ、右と左は梅さくら、前に盃柱にもたれ、晏氏の馭馬のそれならで、意気揚々と二頭馬車、乗りし主人のシガレツト、燻らす姿はよけれども、腹は五月の鯉なるぞ、翻訳書物を力草、辿る朗読演説や、語る済世経世の、策を自説とごまかして、英雄然たる面憎さ、其癖お金と見る時は、相貌崩して笑ひ顔、語り頷く魂胆秘密、強兵富国の策よりも、自分のぽつぽを暖めて、餓に寒さに泣き叫ぶ、社会の底のどん底の、声を肴の栄耀栄華、かゝる無慈悲の振舞いは、ずつと昔の其昔、昔語りと聞きしのみ、今は開化のありがたさ、慈悲仁心もいと深き、紳士の万歳唱へなん、欣舞欣舞欣舞、愉快愉快〔うやむや〕

──壮士節、明治二十五・六年頃流行、『日本近代歌謡史』上ほか

[メモ] 日清戦争突入直前の風雲急を告げる状況が七五調のリズムに乗せて克明にうたわれている。

やつとんまかせ

国の為ならわしや何処までも、やつとんまかせ、たとひ火の中水の底。

──流行唄、明治二十七年流行、『はやり唄変遷史』

やつこりや節 やつこりやぶし

丸髷(まるまげ)崩して(そく)(はつ)結うて、看護婦するのも、やつこりや国のため。

──流行唄、明治二十七年流行、『はやり唄変遷史』

凱旋歌 がいせんか  

♪道は六百八十里 長門の浦を船出して 早や二とせを故郷(ふるさと)の 山を遥かに眺むれば

曇り勝なる旅の空 晴さにやならぬ日本(ひのもと)

御国の為と思ひなば 露より脆き人の身は

ここが命の捨てどころ 身には弾きづ(つるぎ)きづ。

♪負へどもつきぬ赤十字 (たけ)き味方の(いきほひ)

敵の運命(きはま)りて 脱ぎし冑の(ほこ)(さき)

 串てぞ(かへ)勝利軍(かちいくさ) 空の曇りも今日はれて

一層高き富士の山 峰の白雲消ゆるとも

勲を建てし丈夫(ますらを)の 名誉(ほまれ)は長く尽きざらん。

──軍歌、明治二十年流行、『明治流行歌史』

 

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黄海海戦行進曲 *海軍軍楽隊

勇敢なる水兵 *原詞の一部は改変されてい

 

乃木大将の歌 のぎたいしょうのうた

大正二年、明治天皇の崩御にさいし殉死を果した乃木大将夫妻を追悼した時事歌謡。

【例歌】

乃木大将の歌 のぎたいしようのうた      吉丸一昌詞

一 夢より淡き三日月の 大内山に消ゆる

先のみかどの御車は 果のいでましあらせらる

 二 火砲のひゞき轟きて 宵闇破ぶる一刹

   乃木将軍は御後を 慕ひまつりて逝きにけり

 殉死当日の乃木夫妻

 三 忠勇義烈の大将は この世後の世変りなく

   天つ御国の大君の 御側離れず仕ふらん

 四 遺言十条読みて見よ たゞ責任を重んじて

   三十五年のそのあひだ 死処を求めて止まざりき

 五 資財を家に蓄へず 名誉をひとり貪らぬ

   清き日頃のこゝろざし またこの日に見ずや人

 六 日露のいくさ平ぎて 勝鬨あげて帰る日も

   陛下の赤子失ひぬ 父老に恥づと嘆きたり

 七 国に尽すは臣の道 何をか人にいふベきと

   功に誇らずへりくだる けだかき心見ずや人

 八 六十四年の生涯は 日本の武士の鑑にて

   をはる最後のかゞやきは 純美崇高極みなし

 九 起てよ武士武士道の 権化を前に認めずや

   今し鋭心起さずば 腰のつるぎに恥あらん

 十 我が帝国の同胞よ 鬼神涙に咽ふべき

   この壮烈に勇まずば 汝の胸に血潮無し

──追善唄、大正二年作、ニッポノホン

 

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水師営の会見

 

反戦歌謡 はんせんかよう

戦争遂行に反対の立場をる歌。

たいていは替歌もしくは隠し唄で、戦時下で表面に出ることはなかった。

【例歌】

反戦数え歌 はんせんかぞえうた 

一つとせ 人もいやがる戦争に

天皇の(めい)だと名を附けて

赤紙一枚で引き出せるー

 「赤紙」といわれた召集令状

二つとせ ふた夜さまをあとにして

可愛スーちゃんと泣き別れ

三年、三年、又一年

三つとせ 皆さん勲章が何になる

人を殺すが(てがら)だと

何の 自分が犬死だ!

四つとせ 夜は寝もせず歩哨に立てば

思わず浮ぶ父母の顔

すぐさま帰れと呼んでいる!

五つとせ 何時までたってもこの戦

ます〳〵わけはわからない

平和なんぞは更に来ぬ!

六つとせ 無理を言うなよ隊長さん

お前はすぐさま凱旋だ

やたらに殺されてなるものか!

七つとせ 何にも知らない兵隊さん

欺瞞宣伝にのせられて

☓☓近衛の腹こやす!

八つとせ 休む暇なく戦争して たった八円八十銭

ともに手を取り打倒せ! ピー買するにも足りません!

九つとせ 此処で命を捨てたなら

妻子は他人の手にかゝる

早く帰ろうよ (かか)のため

十とせ 友よ目覚めよ此の戦

軍部・資産家はおらの敵

──反戦歌謡、昭和戦前・戦中に流行、『時代を生きる替歌・考』

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可愛いスーちゃん かわいいすーちやん    森繁久彌唄

お国のためとは言い乍ら

人の嫌がる軍隊に

出て来るこの身のあわれさよ(召されて行く身のあわれさよ)

可愛いあの娘(スーちゃん)と泣き別れ

これから勤める三年間

朝は早よから起されて

寝るも起きるも皆ラッパ(ぞうきんがけやらはき掃除)

泣き泣き送る日の長さ

日は早落ちて月が出る

二年兵のはいた泥靴を

月の光にてらされて

磨く此の身のあわれさよ

海山遠く離れては

面会などは更になし

ついた手紙のうれしさよ

かわいいあの娘(スーちゃん)の筆のあと

──替歌、昭和戦前・戦中に流行、『替歌・戯歌研究』

 

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死んだ男の残したものは *倍賞千恵子

中里介山:反戦詩 *土取利行(朗読・演奏)

ハートソング *土取利行(唄・三味線・太鼓)、反戦歌というよりは軍隊茶化し

唄である

ずが枯木で *茨城県某発信による意味深な反戦歌として知られる 

 

部隊歌 ぶたいか

【例歌】

ペダル進軍歌       大高ひさを詞

♪甘いマンゴが かおる

 仏印 あおい風

 アンナン娘が 日の丸振って

 微笑むこの街 白い路

 脚にぼえの ペダルを踏んで

 朗らか進軍 どこまでとばす

♪椰子の葉かげは ゆれる

 あの空 遠い空

 花咲くカンボジア 夢みるラオス

 涯てない地平も 密林も

 脚にぼえの ペダルを踏んで

 輝く銀輪 どこまで進む

♪やけた 鉄のかぶと

 きりりと 結びつけ

 空征く荒鷲 手を振り交し

 東亜の平和を 護るため

 脚にぼえの ペダルを踏んで

 皇軍進駐 どこまでつづく

──軍歌、昭和十六年発表

 

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海の決死隊 *小野 巡

快速騎兵隊 *東海林太郎

機甲の歌 

上海陸戦隊 *帝国海軍軍楽隊

戦車第一連隊の歌 *東海林太郎

隊長殿のお言葉に *灰田勝彦 小畑實 大谷冽子

台湾軍の歌 *大映男声合唱団

南京爆撃隊 *東海林太郎

走れ日の丸銀輪部隊 

風流部隊 *上原 敏

婦人従軍歌 *ペギー葉山

部隊長と兵隊 *東海林太郎、上原敏

ほがらか部隊 *波岡惣一郎 南邦雄

歩兵の歌 

無敵潜水艦隊の歌 *霧島昇、真木あや子

勇猛戦車隊に捧ぐる歌 *伊藤久男、霧島昇

ラバウル海軍航空隊 *鶴田浩二

ラバウル小唄 

              

兵隊唄 へいたいう 

近代の軍隊において、部隊でも下等階級の兵隊たちが愛唱した歌。歌詞の多くに希望の失せた哀感がうかがえる。

【例歌】

征清新ヤンレ節 せいしんしんやんれぶし      第二師団金州野営某上等兵詞

鍬を持つ手に鉄砲持つて 花の仙台出たのは去年。

 永の逗留広島(まち)で 欠伸(あくび)交りの小言も出たが。

(やが)て舟出は宇品の港 (これ)が故郷の見納めなるぞ。

舟の中から首さし出せば (けむ)のやうだが山山の陰。

どうせ死ぬのに何要るものか さんさしぐれを唄うて死ねや。

骨と髪とが故郷に行かば 家で(かか)めが(はな)(たから)んで。 

さあさやれやれ一斉射撃 面倒臭いや吶喊(とつかん)攻撃 

弾は霰と飛んでは来たが 何の因果か(あた)つてくれず。

露営舎営に風邪さへひかず 豚と芋とで豚のように肥えた。 

ゆんべ嬶から手紙がとどいた 家の忰は学校通い。

村の娘子(むすめつこ)が嫁に行った 鉄葉(ブリキ)喇叭(らつぱ)を五銭で買つて 。

次男は毎日喇叭吹く 吹いた喇叭を夢に見て。

今朝の喇叭で目が覚めたヤンレー 目が覚めたヤンレー。

──軍隊唄、明治二十七年頃流行、『明治流行歌史』

法界馬関節 ほうかいばかんぶし  

♪オイチニヤサントヨツドツコイシヨ烏鳴く所は九州熊本連隊十三だい、第一大隊勝利あげ陸軍おひ立つ皮きり、本年取つて二十二歳ふけばちら散る桜花オイチニヤサントヨツドツコイシヨ二竜山から旅順かの市街を眺望すれば敵兵所々より発泡する数万の弾丸飛び越えて、我兵各所に進撃する大砲百裂白烟り、親捨て家捨て妻捨て子捨て而して出るのが何のその、人は一代名は末代死すべき時は今なるぞ此処が名誉の挙げ所、勉強せいや国家に忠義の為血は溢れ興奮気は泰山、磨き上げたる日本刀汚して我等の済ものか今日の繁栄はよけれども余国の恰好を見る時は切歯扼腕慷慨悲憤余国征伐堂々と一時に勝取る夢を見た汽笛一声夢醒りや前列後列吶喊して霜白々オイチニ愉快〳〵帝国万歳

──軍隊唄、明治二十七年頃流行、『日本近代歌謡史』上

いばりやんす節 いばりやんすぶし

♪少尉さん、中尉になつたと威張りやんす、二等一等上等伍長軍曹特務曹長くりあげで。

──兵隊唄、明治二十九年頃流行、『明治流行歌史』

 太平洋戦においてマーシャル群島守備の海軍陸戦隊員。肉体が過酷な決死戦を無言で語る。

 

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歌う二等兵(兵隊歌)

カメラの戦士 * 徳山璉ほか

軍隊小唄 *トリオ・リズム・エアーズ

軍隊のぞき節 *

守備兵ぶし *小野 巡

陣中髭くらべ *東海林太郎

楽しき伍長 *児玉好雄

都々逸と兵隊 *井田照夫

浪花節と兵隊 *井田照夫

吹雪の曠野 *藤野正夫

兵隊甚句 *市丸・鈴木正夫

兵隊床屋 

 雪の進軍

【例歌】

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雪の進軍      征清第二軍軍楽隊詞

     一

雪の進軍氷を踏んで どれがどれやら道さへ知れず

馬は倒れる捨てても置けず ここは何処(いづこ)ぞ皆敵の国

ままよ大胆一(ぷく)やれば 頼み少なや烟草(たばこ)が二本

    二

焼かぬ乾魚(ひもの)半煮(はんにえ)(めし)に なまじ命のある其内は

こらへきれない寒さに焚火 けむい筈だよ生木がいぶる

渋い顔して功名話 すいといふのは梅干ひとつ

    三

きのみ着のまま気楽な臥房(ねどこ) 背嚢枕に外套かぶりや

(せな)のぬくみで霜とけかかる 夜具の黍稈(きみわら)しつぽり濡れて

結びかねたる露営の夢を 月は冷く顔のぞき込む

──軍歌→行進曲、明治二十七年以降流行、『明治流行歌史』

 

予科練と海軍兵学校 よかれんとかいぐんへいがっこう

【例歌】

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勇士           大槻一郎詞 

   ♪恩賜の煙草を いただきて 
  あすは死ぬぞと 決めた夜は 
  広野の風も 腥(なまぐさ)く 
  ぐっと睨んだ 敵空に 
  星が瞬(またた)く 二つ三つ
 ♪ すわこそ征けの 命一下 
  さっと羽ばたく 荒鷲へ 
  何を小癪な 群雀(むらすずめ) 
  腕前見よと 体当たり 
  敵が火を噴く 墜ちてゆく

   ♪機首を回した 雲の上 
  今の獲物を 見てくれと 
  地上部隊に 手を振れば 
  どっと揚った 勝鬨(かちどき)の 
  中の担架が 眼に痛い 
 ♪しめたぞ敵の 戦車群 
  待てと矢を射る 急降下 
  煙る火達磨 あとにして 
  悠々還(かえ)る 飛行基地 
  涙莞爾(かんじ)と部隊長

──軍歌、昭和十四年発表

 建物は場違いなイメージの予科練平和祈念館〔茨城県阿見町〕

 

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同期の桜 *鶴田浩二

二輪(ブセネタ) *樋口静雄

若鷲の歌

 

〆の軍歌〔雜載〕 ぐんかざっさい

往時、軍人・兵士の士気を鼓舞し、国民にも戦意高揚を訴えた歌謡。

今でも年配者が懐かしがってカラオケなどでうたうことが少なくない。

【例歌】

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敵は幾万 てきはいくまん        山田美妙斎詞

♪敵は幾万ありとても すべて烏合の勢なる

烏合の勢にあらずとも 味方に正しき道理あり

邪はそれ正に勝ち難く (ちよく)(きよく)にぞ勝栗(かちぐり)

堅き心の一徹は 石に矢の立つ(ためし)あり

石に矢の立つ(ためし)あり などて恐るる事やある

などてたゆたふ事やある。

 日本軍歌の白眉「敵は幾万」

     二

風に(ひらめ)く連隊旗 (しるし)は昇る旭子(あさひこ)

旗は飛来(とびく)る弾丸に 破るる程こそ(ほまれ)なれ

身は日の本の兵士(つはもの)よ 旗にな()ぢそ進めよ

旗にな()ぢそ恥ぢなせそ などて恐るる事やある

などてたゆたふ事やある。

     三

敗れて逃るは国の恥 進みて死するは身の

瓦となりて残るより 玉となりつつ砕けよ

畳の上にて死ぬ事は 武士の()すべき道ならず

(むくろ)馬蹄(ばてい)に懸けられつ 身を野晒(のざらし)に為してこそ

世に武士(もののふ)の義といはめ などて恐るる事やある

などてたゆたふ事やある。

──軍歌、明治二十四年発表、『明治流行歌史』

婦人従軍歌 ふじんじゆうぐんか

菊間義清詞

     一

火筒(ほづつ)(ひびき)遠ざかる 跡には虫もこゑたてず

吹き立つ風はなまぐさく くれなゐ染めし草の色。

    二

わきてすごきは敵味方 帽子飛び去り袖ちぎれ

(たふ)れし人の顔色は 野辺の草葉にさもにたり。

    三

やがて十字の旗をたて 天幕(てんと)をさして(にな)ひゆく

此人人は日の本の 仁と愛とに富む婦人。

    四

真白に細き手をのべて 流るる血しほ洗ひ去り。

まくや綳帯(ほうたい)白妙(しろたへ)の 衣の袖はあけにそみ。

    五

味方の兵の上のみか 言も通はぬあだ迄も

いとねんごろに看護する 心の色は赤十字。

    六

あな勇ましや文明の 母といふ名をおひ持ちて

いとねんごろに看護する 心の色は赤十字。

──軍歌明治二十七発表『明治流行歌史』

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南洋航路(ラバウル小唄)  なんようこうろ/らばうるこうた  

          若杉雄三郎詞

赤い夕陽が 波間に沈む

果ては何処(いずこ)か 水平線よ

今日もはるばる 南洋航路

男船乗り かもめ鳥

波のひびきで 眠れぬ夜は

語り明かそよ デッキの夜風

星がまたたく あの星見れば

くわえ煙草が 眼に沁みる

さすが男と あの()が言うた

もゆる生命(いのち)を マストにまかせ

ゆれる心に 憧れはるか

明日は赤道 椰子の島

──軍歌、昭和十五年発表、『小学館CDブック・昭和の歌』

蒙古放浪の歌        村岡 昊詞

♪風紀名門の子女に戀するを

  純情の戀と誰が言ふ
路頭に迷ふ女性に戀するを
不純の戀と誰が言ふ
雨降らば降るがよい
風吹かば吹くがよい
泣いて笑つて月下の酒場にこび賣る女性は
水蓮の如き純情あり
酒は飮むべし百藥の長
女は買ふべし人生無上の快樂
幼少美女の膝枕に快樂の一夜明ければ
夢もなしまた金もなし
碎く電劍握る美林
のぞくコンパス六分の儀
ああ我山行渡鳥
いざ唄はんかな 蒙古放浪の歌を

 ♪心猛くも 鬼神ならぬ 人と生まれて 情けはあれど
母を見捨てて 波越えてゆく 友よ兄等と 何時亦会はん
波の彼方の 蒙古の砂漠 男多恨の 身の捨てどころ
胸に秘めたる 大願あれど 生きて帰らむ 希みはもたぬ
砂丘を出て 砂丘に沈む 月の幾夜か 我等が旅路
明日も河辺が 見えずば何処に 水を求めん 蒙古の砂漠
朝日夕日を 馬上に受けて 続く砂漠の 一筋道を
大和男の 血潮を秘めて 行くや若人 千里の旅路
負はす駱駝の 糧薄けれど 星の示せる 向だに行けば
砂の逆巻く 嵐も何ぞ やがては越えなん 蒙古の砂漠

 

かつて中国・満州・蒙古を放浪した大陸浪人

噫呼聖断は降りたり    喜多紀世雄詞

1)

噫呼聖断は降りたり 

何の顔(かんばせ)ありてこそ 

祖宗の霊に見えんや 

されど勅命(みこと)の重ければ 

悲憤の涙拭うべし

2)

噫呼万世の太平を 

願い給うは大御心ぞ 

無念や矛を収むれど 

護国の花と散り果てし 

戦友が英魂許すべし

3)

噫呼国体の護持こそは 

遠き御祖(みおや)の御旨なり 

天津日嗣(あまつひつぎ)のしろしめす 

国に勝れる国は無し 

 民挙りて護るべし

4)

噫呼聖断は降りたり 

今ぞ恩讐耐え忍び

臥薪嘗胆決意凝る 

七度生まれて日本の 

永久の栄光築くべし 

──昭和二十、終戦の詔勅にちなんで作詞したもの。作者についての来歴等未詳

 

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愛馬行 

アメリカ爆撃 

神風節 *昭和27年復刻盤

艦船勤務

関東軍軍歌 *東海林太郎

軍歌メドレー 名も亡き兵士達の唄

守備兵日記 *美ち奴

ズンドコ節 *三島敏夫

戦艦大和の歌 *

大日本帝国軍事歌メドレー *

戦う東条首相 *伊藤武雄

独立守備隊の歌 * 

泥まみれの軍歌 *小野 巡

涯なき泥濘(ぬかるみ) *小野 巡

歩兵の本領

見たか鉄腕 *上原 敏

勇士に捧ぐ *松原操ほか

 [メモ] ●トルーマン大統領から日本国民へ、というよりは軍の幹部に対する戦争終結のための「伝単」説得文。小見出しは簡にして要を得た疑問系で結ばれている●「伝単」とは、昭和十九年末から翌年終戦まで、米軍がB29戦略爆撃機で空から大量にばら撒いた戦略ビラ。ねらいは日本国民や兵士の戦意喪失にあった●これらは「紙の爆弾」ともいわれ、日本軍部は「謀略ビラ」であるとして、もみ消しに躍起になった。しかしビラの大半は当時の国民感情の意表をつくものが多く、手にした銃後の国民は微かながら不安に心が大きく揺さぶられた。