ミニコミ現代表現のテクニック

 

 

殺し文句の文彩

 

 

荻生待也 著 

 

おぎぶんe-book 09

 

 

はじめに

 

 

日本ではいま、若い人から年輩者まで

メールやメッセージの交換が盛んです。

特に最近、ケータイやPCの普及につれて

印刷済みの儀礼用フォームは味気ないと敬遠され

代りに独創的でハートフルなメッセージの交換が

目立つようになりました。

 

『文彩テクニック』は

相手と心の通った意思の交流をめざし

送り手が情感を込め文章で伝える

手短かなコミュニケーションです。

21世紀ミニコミ全盛時代がもうスタート

ミニコミでの表現技術(HOW TO)

現代人必須のスキルになっています。

 

『文彩テクニック』といっても

ラブレターからセールスレターまで

広いジャンルに多くの種類があります。

そのなかから読者が読んで役立つような

メッセージ例文(荻生作)を選んで編成しました。

各項には必要な解説も加えてあります。

コンテンツの編成については目次をご覧ください。

 

あなたもこのコンテンツを通して

ハートフルメッセージ作りを楽しみながら

役立ててください。   荻生待也しるす

 

例文は詠み疲れしない簡潔文で構成しました

ただでさえ情報過多にさらされている現代人であるがゆえ、今では若者たちの活字離れが進行しています。それを「本を読まなくなった」と批判する前に、執筆者は「読み疲れしない簡潔な文章」を提供する必要があると考えます。

よって本コンテンツでは「読んで理解しやすい簡潔な文章」を心がけました。特に例文では、主題にそった、できるだけ短く、名文ではないがわかりやすい実例文をもって構成してあります。

 

画像について

このコンテンツに掲出した画像は、原則として「フリー画像」で検索したもの

もしくは「Windows7 wordのクリップアート」で検索したものです。

掲出画像の多くは、テーマと関連はするが直接的ではありません。なぜそのような画像をお見せしたか、推察してみるのも一興でしょう。

 

 

「文彩」について

 

このコンテンツでは「文彩」という言葉がしばしば出てきます。これは旧来の修辞に変わる新しい用語です。

 

文彩そのものは中国からの渡来語です。近世以前の中国のいくつかの古典に見られ、うち15世紀『次韻壺隠亭』という書にある文采が、文章の光彩という意味で語釈されています。それが日本に渡来してから、明治期に至り「弁論術」の意味に使われるようになり、さらに近代では「修辞」同等の語義に移ります。現代はなじみの薄い言葉なのは確かです。

  

旧称「修辞」も「レトリック」(rhetoric)も近代に発祥した用語です。これらに「文彩」を見比べてみると、日本語の文飾術語としては文彩が最適の言葉に思えます。そこで本コンテンツでは「文彩」で通すことにしました。

 

加えてもう一つ、現今通用しているレトリック用語はわかりにくい、という問題点を抱えています。明治時代日本の言語学者が英仏独あたりのレトリック学術書から直訳したものを今なおそのまま用いているからです。日本語としてまったく未消化の述語が多く、慣れないうちは内容を把握するのに一苦労します。たとえば主語を伏せたまま書く技法を「主辞内顕」という難しい明治直訳語で言い表していますが、これは「主語省き」あるいは「主語隠し」と素直に言い換えればずっとわかりやすくなるはずです。

  

ときに、言葉や文言は発生した時点で文彩の束縛を受ける宿命にあります。そしてほとんどの文章が、一文中に複数の文彩テクニックを自然に内在した形で成り立っています。その意味で一般的な文章は文彩抜きには構成できませんし、文彩もまた文章から遊離した形では存在し得ないのです。 

さあ、そのバリエーションを探ってみましょう。

 

 

目 録

 

●コンテンツの内容表示で、目次ではありません。セクションが多いという理由から、ページ番号は省いて、頭書番号で処理することとします。

 

0-1.   文章の「基本形」は文彩の原点である。

0-2.   文彩テクニック編                       

1.「配列」のテクニック

 1-01 込み入った内容は〈結論優先〉で述べる。       

 1-02 〈ポイント(要点)先取り〉に徹した文章術       

 1-03 びっくり言葉で機先を制する〈奇先法〉        

 1-04 歯切れのよい構文を創る〈倒置法〉          

 1-05 内容を次第に盛り上げていく〈クライマックス〉    

 1-06 内容を尻下がりに落とす〈アンチ・クライマックス〉  

 1-07 読み手を言葉の絶壁から突き落とす〈頓降法〉     

 1-08 言葉をくるりと変えて綱渡り〈語調急転〉       

 1-09 仲良し言葉をひっくり返して洒落る〈転倒彩〉     

 1-10 伏線を仕掛けて相手を乗せる〈伏線開示〉       

 1-11 自分の意図する目的へと誘い込む〈誘導法〉      

 

2.「置換」のテクニック                   

 2-01 言葉で化粧、文章で着せ替える〈換言法〉       

 2-02 ?を用いても本音は!である〈偽装疑問〉       

 2-03 対立する言葉同士を縁結び〈対句彩〉         

 2-04 否定を否定すると肯定が見えてくる〈二重否定〉    

 2-05 不透明な〈あいまい言葉〉で主張を貫く。       

 2-06 デアル、デス、マスが舞い踊る〈文末変化文〉     

 2-07 ペン捌きひとつで読者を担ぐ〈うっちゃり〉      

 2-08 好奇心と想像の世界を揺さぶる〈伏字入り〉      

 2-09 〈振り仮名遊戯〉は表記茶化しの最右翼        

 2-10 文字列をカッコよく括る〈括弧強調〉         

 

3.「反復」のテクニック                   

 3-01 詞章を同じ言葉で染め上げる〈音彩反復〉       

 3-02 ときには滑稽も演出する韻律技〈リフレイン〉     

3-03 音韻で織りなす言葉の綾取り〈頭尾反復〉       

3-04 詞章を大胆に装飾して変身〈音韻音彩〉        

3-05 同音同語で綾なす詞華のリピート〈冗語法〉      

3-06 同類の音声洒落をリズミカルに重ねる〈畳語彩〉    

3-07 同義の言葉を複数並べ立てる〈重言〉         

3-08 同義語や似たような言葉を並べ立て〈同義語列挙〉   

3-09 和語の律動が織りなす優美な〈音律〉         

3-10 NO続きの最後はYESで締めくくり〈否定反復〉   

 

 4.「付加」のテクニック                   

  4-01 引用により読者の興味を引きつける〈例示法〉     

  4-02 気の利いた〈秀句言い〉で滑稽味を出す。       

  4-03 処世の玉条をさりげなく挿し飾る〈金言法〉      

  4-04 うがった異名の命名で楽しむ〈異名遊び〉       

  4-05 一言余計のナンセンス感で決める〈追加彩〉      

  4-06 文字替え音替えして派手に文飾〈駄語並べ〉      

  4-07 〈無駄言葉〉も使い方しだいで文章活性化       

  4-08 目立たせお山の大将〈キーワード法〉         

  4-09 ある命題をあれこれ定義で飾り付け〈定義彩〉     

  4-10 長文がダラダラ連綿と続く〈連綿文〉         

 

 5.「省略」のテクニック                   

  5-01 書き手が〈言葉節約〉して読み手が埋め合わせ     

  5-02 言葉の贅肉は〈言葉括り〉でスリムに         

  5-03 言葉を端折って余韻を生み出す〈黙辞〉        

  5-04 活用で軽量化、濫用で軽薄化の〈体言止め〉      

  5-05 観念的な文脈を程よく煮詰める〈接続詞省略〉     

  5-06 日本語特有の〈主語隠し〉で主語をさとらせる。    

  5-07 良薬口に苦く〈警句法〉に饒舌なし。         

 6.「比喩」のテクニック                   

  6-01 猫を材にした用例①直の喩え             

  6-02 猫を材にした用例②暗示の喩え            

  6-03 猫を材にした用例③結びつけの喩え          

  6-04 猫を材にした用例④類推の喩え            

6-05 猫を材にした用例⑤仮託の喩え            

6-06 猫を材にした用例⑥活写の喩え            

6-07 猫を材にした用例⑦大げさな喩え           

6-08 猫を材にした用例⑧乱れの喩え            

6-09 猫を材にした用例⑨シンボル             

 

 7.「連想」のテクニック                   

  7-01 対比による落差で滑稽も歓迎〈相似連想〉       

  7-02 相手の想念に〈印象強調〉を刻み付ける。       

  7-03 それとなく〈暗示引用〉して言葉の花を開く。     

  7-04 言いたいこと後回しで誘導する〈迂曲法〉       

  7-05 〈名化け〉で呼称を言い換え美化・俗化        

  7-06 〈絡め手言い〉で客観批評の目を向ける。       

  7-07 〈音もどき〉を巧みに奏でるギオンの芸達者      

  7-08 万物を人並みに扱う〈擬人法〉            

  7-09 人を者並みに扱う〈擬物法〉             

  7-10 〈ためらい〉のゼスチャーで関心を引く。       

  7-11 靄がかり〈ぼかし技〉もテクニックのうち       

 

 8.「多重」のテクニック                   

  8-01 〈洒落〉は言葉の着せ替え遊びである。        

  8-02 言葉をツールに言い回して遊ぶ〈弄辞〉        

  8-03 〈語呂合わせ〉は音通物真似による洒落        

  8-04 有名語句や詞章を戯れに真似る〈パロディ〉      

  8-05 落語家も文士も大歓迎のガタ〈オチ〉         

  8-06 相手の言葉尻を捕らえて茶化す〈揚げ足取り〉     

  8-07 もって回った表現で真意を伝える〈遠回し〉      

  8-08 同義語をあれこれ変えて彩る〈同義文飾〉

  8-09 同音異義語の〈掛け合い〉キャッチボール 

  8-10 本音とは裏腹の言葉で表現する〈反意語法

  8-11 面妖な言葉〈頓辞〉を羅列して相手を煙に巻く

  8-12 ああいえばこういう〈掛け合い〉で言葉遊び

 

 9.「摩擦」のテクニック

  9-01 ショッキングなフレーズで活入れ〈文体破壊〉

  9-02 文彩では大げさな〈誇張法〉も技のうち

  9-03 文字や表記をいじくり回し七変化〈字装法〉

  9-04 嘘を承知で濃い笑いを誘発〈ホラ吹き〉

  9-05 肯定文⇔否定文の急変で目くらまし〈肯否転倒〉

  9-06 〈逆説〉で証明する世の中の不条理や矛盾

  9-07 斜に構えた〈アイロニー〉で皮肉るテクニック

  9-08 常識外れな奇論をこじつける〈詭弁法〉

  9-09 〈当てこすり〉で盛り上げる笑止の世界

  9-10 読者のイメージを破壊する場違い〈作為法〉

  9-11 〈不可思議語〉がもたらす誤解という名の罪

  9-12 物事に〈冷笑法〉を用いて下世話な共感を呼ぶ。

 

 10.「情動」のテクニック

  10-01 〈感嘆〉のあまり感情のペンを走らす

  10-02 〈感情移入〉で私世界を展開

  10-03 〈言葉の綾〉を使い相手の心に火をつける

  10-04 自分自身を揺さぶり生々しく見せる〈自嘲法〉

  10-05 執着心を〈情念移行〉のフレーズに凝縮

  10-06 受けたイメージを心理描写する〈想念転写〉

  10-07 理屈を控え情緒と感性にアピール〈感性訴求〉

  10-08 〈殺し文句〉はメッセージの宝石である

 

 

メッセージのスタイル編

 更新に伴い一部欠落しています。

 101 メッセージの基本構成は51である

 102 3行メールの往復で家族の安心が深まる

 103 書き手と読み手はヒントで連帯感を強める

 104 エピソードは人物紹介での仲介役になる

 105 愛情本格派を証明するペット日記

 106 愛の告白は相手のハートを射抜くメッセージで

 107 賀の祝いの遣り取りは異世代のゲーム感覚で

 108 解説文ではいきさつを要領よくまとめる

 109 開店案内状はビジネスステップの第一歩

 110 感想文は心の赴くままハートフルに

 111 急な誘いは参加意欲をいざなう切り口で

 112 愚痴送りはストレス発散の手段になる

 113 結婚祝いへの礼状は感謝の言葉で埋め尽くせ

 114 言葉不足は誤解を招き結果を無にもする

 115 いにしへのみやびたることのは古文擬き

 116 お誘いメールは手短に、内容を整理して

 117 お悔やみは遺族の身になり弔意を尽くす

 118 口説き文句は相手によりけり臨機応変に

 119 閑話休題は肩の凝りを解きほぐす即効薬

 120 合格祝いはエールの言葉を惜しみなく

 121 約束破りのハートフルお詫びメッセージ

 122 自己紹介文ではユーモアのスパイスを効かそう

 123 酒席での失態は平謝り以外に道なし

 124 覚えて重宝する数え唱え遊び

125 就職祝いでは競争社会入りした自覚を促そう

126 出産祝いは祝賀言葉で賑やかに飾る

127 招待状は親交ルートを広めるチャンス

128 紹介では本人の「売り」も引き出す

129 アピールは理を尽くし折り目正しく訴える

130 HOW TOスタイルで知識をお裾分け

131 絵解き説明文では要点を要領よく

132 人生相談は事実をしっかり告白した上で

133 成人祝いは押しかけでも歓迎される

134 昔語りはエピソードにロマン趣向を添えて

135 宣誓の本質は自己への挑戦であると知れ

136 専門語の解説400字程度まで、簡潔に

137 相手ミスの指摘に丁寧すぎることはない

138 相談事は気さくにアプローチする

139 体のおねだりは恋人同士の特権である

140 退会申し出の類は必ず事由を書き添えて

141 断わり万般は相手を傷つけない配慮も必要

142 仲間募りは共通の夢を持つ者に呼びかける

143 応募の売り込みは熱意が伝わる文面で

144 カタカナ言葉の濫用は人の心を冷やす

145 忠告では嫌味のスパイスが必要なことも

146 朝一メールは取り留めのないお目覚め挨拶

147 通知文は定型スタイル+αで色を添える

148 伝言はビジネスフォームに1行気遣いを添えて

149 別れの宣告は責め言葉で終わらないように

150 落ち込んだときは母親に甘えの文通

151 褒め言葉はさりげないほど効果が上がる

152 無題とはタイトルに迷った挙句の決定打

153 問い合わせは理由を述べて返事を依頼

154 役立ち情報はPC検索で確認してから発信

155 諭しは相手しだいで文体を変え説得する

156 由来記は天下周知の対象を選ぶ

157 誘いの断りでは理由とお礼の言葉を添えて

158 略式招待は往復はがきで気さくに誘おう

159 励ましは前向きな元気づけの内容で

160 恋情の訴えは表現オーバーも大目に見られる

161 ミニコミ書評は電子出版時代の花形に

162 かるた文言は小市民社会を映し出す鏡

163 異論の提示は反論に備え武装をしてから

164 抗議文は皮肉を混ぜたほうが効果的

165 文体模写は書き出しで勝負が決まる

166 ボヤキの発散は精神安定に効用がある

167 価格情報は脚色がらみで読ませる

168 情景点描なら素材は無尽蔵にある

169 宣言文は肩のこらない文体でつづる

170 翻訳文では原文も載せて対訳しよう

171 暗号文は知る人ぞ知るのミニコミ手段

172 暗号フレーズで2人だけの交信を楽しむ

173 一言返信も時と場合により特効薬に

174 音を面白半分に似せて遊ぶ駄洒落

175 犬のクソ並み、安易な先生付けに反論

176 神仏に誓言をもって願掛け

177 時代がかった韻文の持ち味を生かす七五調

178 FAX送信文は用件重点で読みやすく

179 痛罵を浴びせ疑念を問題提起        

180 ケータイ出るできるなぞ掛け遊び

 

 付編 落穂拾い ツイット断章 (150)