付編 落穂ひろい ツイット断章

 

 

いま社会は情報過多時代に突入しています。ということは、自分にとって有り余る不必要な情報を淘汰し、好むと好まざるとにかかわらず、思い切って頭から追い払うとともに、必要な情報のみを選択するスキルが求められているのです。

 

文章構成においても同じこと。内容が充実していて、しかも読み手が注目するような、気の利いた短文がもてはやされる時代、といえます。言い換えると、主張したい内容のエキスが要領よくまとめられた、断章の作文能力が必要です。

 

そこで本編に洩れたテクニックもしくはスタイルを随想風にアレンジして、ここにツイット断章として拾い上げてみました。

 

( )内は該当する文彩用語あるいはレトリック術語を示したものです。これをベーシックセンテンスにして自由に言葉の枝葉を接木し、さらに決め細やかな文章にすることも可能です。

 

画像とのコラボレーションにも意味のあるがあります。面白おかしく推察しながらご覧ください。

 

 

 

文彩落穂ひろい 01 

 

東京スカイツリーは高さで日本一(634m)を誇る建造物。群がる人ごみを睥睨し、「ムサシの下郎どもよ、下に居ろう」と。このノッポ殿様、下町庶民にとってかなり居丈高だ。(擬人法)

 

落穂ひろい 02

 

ある薬剤師、製薬会社の入社面接で覚せい剤をヤクと言ったらヤクザっぽいと入社NGに。薬事法に抵触するわけでもあるまい。面接官はクスリ漬けなのかも。(同音異義語反復)

 

落穂ひろい 03

 

水泳パンツを穿いて銭湯の湯船に入ろうとする無礼なガキに怒鳴ってやった、「ここをどこだと思ってる、パンツを脱げ」(常識逆転)

 

落穂ひろい 04

耳かきのお化けを振り回し2億稼いだ坊やがいる。たかがゴルフ、されどゴルフ。世の中、OBだよ。(転義締め)

 

落穂ひろい 05

 

大オバカ! とテレビに怒鳴っているおのれ。この大バカ野郎、出演の屁みたいな連中に、精神まですっかり洗脳されたな。(弄辞先出し)

 

落穂ひろい 06

 

モンテニューの『エセー』は西洋版徒然草だ。学識知見の広さ、舌を巻くばかり。おのれ無学の徒よ、「八十の手習い」で読むのが遅すぎた。(すっとん降)

 

落穂ひろい 07

 

生物資源価値がAAA、鯨はたしかに動物界の出世頭だ。海のギャング、シーシェフアードが与太の代償にそのクオリティを高めてくれた。(置換強調)

 

落穂ひろい 08

 

その道の化粧上手をプロというのかなあ。娼婦は誘惑のために化粧をし、文士は言葉づかいを化粧する。(異句挙例法)

 

落穂ひろい 09

 

ツイッターというSNSミニコミは99.9%のガラクタ言葉と0.1%の玉章から成る。なめてかかると舌を掻っ切られるぞ。(数列対比)

 

落穂ひろい 10

 

ひ孫が「パンパン焦げてるよ」と叫ぶ。ひ婆さん慌てて「そんな言葉使っちゃダメ」だって。むべなるかな、世代の格差!(回帰連想/感嘆法)

 

落穂ひろい 11

 

お前も八十路か。あと一歩で三途の川だ。もうすぐ彼岸で会えるよ。愛しいY坊へ、墓の中の住人、Z爺より。(位相変化)

 

落穂ひろい 12

 

放射能吸着剤というものがあるそうだ。目に物見せずに忍び寄る。スッポンポンの男や女がフェロモン出して相手の服を脱がすようなもの…?(断定躊躇)

 

落穂ひろい 13

 

老妻「キャベツ1個よりこのサクランボ1粒のほうが高いのよ」とのたまう。なんたる計算能力の高さ、だけど発想の貧しさであることか。食えない話だ。(比較提示)

 

落穂ひろい 14

 

物書き女史に「ルンペン」という言葉を使ったら「今はホームレスといいます」だって。おれ、昔言葉ホームシックなのに。この女史、他人の心理が読めず作家として大成しないわけだ。 (例示肯定)

 

落穂ひろい 15

 

深酔いして夜空に向かい「このゴミ野郎!」と毒づいたら、たくさんの星が瞬き口をそろえて「お互いさま」(痛罵法/擬人化)

 

落穂ひろい 16

 

「七草は春と秋、どっちが好き?」と書いて送ったら、彼ったら「シチグサに春も秋もあるもんか」(同音異義、頓珍漢、認識違い)

 

落穂ひろい 17

 

「荻生待也」で検索してみてください。GoogleにもWikipediaにも出ていますので。──ほう、100パーセント無名じゃないんだ。(皮肉法/同調法)

 

落穂ひろい 18

 

「味のある人」なんて典型的な曖昧言葉だ。食人族ではあるまいに。国語学者だって煮えきらない定義を下すに決まっている。(一言余計)

 

落穂ひろい 19

 

野生動物の保護とは人間どものお節介。動物が物を言えたら「頼みもしないのに」と抗議するだろう。「自然淘汰」の摂理をわきまえないからこういう行為に走る。(屁理屈返し)

 

落穂ひろい 20

 

雷鳴と共に秒速30万キロで稲妻が走る。とっさにワイフは叫ぶ「座布団かぶって!」。不可解なり、けれども可愛ゆいものなり、女の論理思考系。(結語断定)

 

落穂ひろい 21

 

東北大震災後「上を向いて」と、偉そうな口をきく有名人が多すぎる。メディアでは「がんばれ被災者」などと俄か人道主義者が急増だ。おぬしら人柄の低さを棚に上げ、お為ごかししているように思えてならない。(穿ち)

 

落穂ひろい 22

 

舛添東京都知事殿 悪あがきするな、日本人なら恥を知れ! いや、ミスった、あんたはコリアン帰化人だよな、物申す相手を間違えた。そうか…恥知らずなわけだ。(前言撤回、失言法)

 

落穂ひろい 23

 

仏語espritはいかにも文学的、英語 spiritは即物的。和称なら「みやび」で断然だ。(身びいき法)

 

落穂ひろい 24

 

季語に入り偉くなれたや土みみず     待也 

今年の啓蟄は、みみず千匹のうごめきを頭に描き……やや、どうしたことか、肝心が立たんぞ! (まやかし)

 

落穂ひろい 25

 

「おとっつあん」「おっかさん」で、往時の家庭団らんがどれほど癒されてきたことか。カタカナ語濫用の徒に煎じて飲ませたい昔言葉だ。(風諭法)

 

落穂ひろい 26

 

永田町や霞ヶ関に黒い噂しきり。天下一の大泥棒団がいて、国民の年金資6兆円が闇の中……。(黙説法)

 

落穂ひろい 27

 

新宿歌舞伎町という町は雑居文化のゴミ溜りだ。物欲がうなりながら渦巻き、人間性のかけらもうかがえない。そのくせ人はなぜか群がりたがる。魔都の魅力が巣食っているのだろう。(ぼかし)

 

落穂ひろい 28

 

大震災以降「風評被害」が時事用語の人気筋に。時の菅総理ぼやくことしきり、「私なんか風評被害一番手だよ」いかにもタンポポ首相にふさわしいせりふではある。(引用皮肉止め)

 

落穂ひろい 29

 

競馬場など公営ギャンブル場でも車椅子族がわが物顔だ。「馬違い」の駄洒落も通用しなさそう。良俗の濫用、福祉が食い物にされている明確な証拠だ。(状況判断結び)

 

落穂ひろい 30

 

大晦日、借金取りが来てナ「払わないならぶっ殺す」と脅しやがった。こちとら「サア殺しやがれ。元日早々、てめえっちに化けて出てやる」(買い言葉)

 

落穂ひろい 31

 

日本のヤクザは「めった斬り」、アメリカンギャングはズドン、バンバン。イタリアンマフィアはいたぶった上でソーセージにしてしまう。ああ怖!(漸増法/括約法)

 

落穂ひろい 32

 

日本酒党か、ブランデー派か。モーツアルトかはやり唄か。灘の生一本を味わうなら、肴は都都逸でキマリだ。(二者択一、たすき掛け)

 

落穂ひろい 33

 

種田山頭火の吟句に「ほろほろ、ふらふら、ぐでぐで、ごろごろ、ぼろぼろ、最後がどろどろ」がある。酔っ払いの擬音尽くし最高傑作だ、文句はあるめえ。(擬態引用)

 

落穂ひろい 34

 

今日は彼岸だ、此の世のせがれの姿はまだかいな。…と、婆さんや、墓参代行が来よったぞ。お灸を据えに化けて出るかや。(架空代弁)

 

落穂ひろい 35

 

心臓の弱い方、日本酒を晩酌なさい。効果覿面だよ。ただし飲みすぎるとナ、この花酒爺のようにイケ図々しくなるので、程ほどに。(提議法)

 

落穂ひろい 36

 

この国ではなぜか「人権」を声高に叫ぶことがプチブル市民のレッテルになっている。皆さん偉くなりすぎて、メツキが剥げないように、ね。(設疑誘導)

 

落穂ひろい 37

 

スーパーでご婦人が割り込んできた。「おい…」と叱りかけると相手が振り向く。見ると若くてなかなかの別嬪だ。おれはすかさず「…ると動作が鈍くて。へへ、どうぞ、どうぞ」だと。このスケベ爺め。(卑下自嘲法)

 

落穂ひろい 38

 

夕まぎれ旅館街を歩いていたら「お爺ちゃん、遊ばない?安くしとくわよ」だって。物の言い方を知らねえスケガキだ、「旦那」だったら返事ぐらいしてやったに。(本意転換)

 

落穂ひろい 39

 

火傷を負ったときは、ただちに患部を水で冷やすこと。ただし、恋の炎だけは水を差してはいけません。余計に燃え上がりますから。(助言法)

 

落穂ひろい 40

 

映画にしろ小説にしろ、アメリカ女が「アイム・ソーリー」としおらしく口にするシーンを見聞したことがない。ブレンダ・リーが歌う「アイム・ソーリー」は別として。今の日本、こんな風潮をそっくり印刷しているようだ。(類推法、例外法)

 

落穂ひろい 41

 

「見かけによらず太い野郎だ」「まあ、あたしは体型スリムだし、オチンだって細くてかわいらしいのよ。ニューハーフにあこがれているくらいなんだから」(誤認反論)

 

落穂ひろい 42

 

昔、田舎にはいたる所に肥溜めがあった。その腐敗熟成した人肥の悪臭を埋め合わせるかのように、周りには可憐な野の花が咲き乱れていた。偉大なり、天然! (換叙補填法)

 

落穂ひろい 422

 

歴代都知事中で不要一番の都税盗っ人。このまま居座ると、暗殺の恐れがありますぞえ!(指名恫喝法)

 

落穂ひろい 42-3

 

611日夜放映のNHKスペシャルは「不寛容社会」がテーマなのに、今一番社会を騒がせている「舛添都知事問題」には触れずじまい。格好の論材なのに…事前に局からダメ押しがあった? だとしたら、いかにもNHKらしい権高極まる「ご配慮」だ。(勘ぐり)

 

落穂ひろい 43

 

新品10円玉を2個、靴に入れて穿くと水虫防ぎになる。しかも1年ほど穿き続けると、10円玉は2回りくらい小さく縮こまる。身を犠牲にして足の毒気を抜いてくれ、まことにご苦労さん。(謝辞法、擬人法)

 

落穂ひろい 44

 

「○○の日」という記念日命名ごっこは面白い。なかでも62日は「うらぎりの日」とか、明智光秀が謀反で本能寺の変を起こした日にリンクさせているのは、こじつけの最たるものだ。(牽強付会)

 

落穂ひろい 45

 

-Aというタレントは女傑だ。泣いた姿を見たことがない。加えて、男いびりが趣味らしい。覗いて見たことはないが、無チンなのを疑いたくなるほどの豪傑だ。(頭尾反復) 画像をモザイク処理すべきですが、仕方がわかりません。御免。

 

落穂ひろい 46

白粉を塗ったくる。紅を挿す。睫毛を付ける。ヅラを載せる。ハッとするほどの女形、一丁出来上がり。ゆめ、口を開くなよ‼ (列挙法)

 

落穂ひろい 47

 

IT関連のわかりにくい横文字言葉は大半が適性日本語に置き換えられる。にもかかわらず実行されないのは、次々に新語がラッシュし旧語を押し潰してしまうから。ほっとけ、そんなもの!(捨てぜりふ)

 

落穂ひろい 48

 

女は本当の年齢を他人にバらされると怒る。男は度外れて若い年齢に見られると不愉快だ。どっちにしろ、そう見立てた者はお世辞で埋め合わすのに一苦労する。(結論放置)

 

落穂ひろい 49 

 

昔、評論家の大宅壮一はテレビ番組を「一億総白痴化」と表現した。あれから約半世紀、番組内容は白痴を超えてさらにアルツハイマー化だ。(前言踏襲)

 

落穂ひろい 50

 

かつては人生50年。今なお生きている著作権法は作者の死後50年のまま。これは作者にとって長いようで短い。短いようで長い。(ためらい)